バスタブ曲線の意味と3つの故障期(初期・偶発・摩耗)

概要

バスタブ曲線(故障率曲線)は、製品や部品の時間経過に伴う故障率の変化を「初期故障期」「偶発故障期」「摩耗故障期」の3段階に分類して表したモデルで、信頼性工学の基礎概念です。自動車用コネクタ・ハーネスの品質保証においても、どの故障期に属する不具合かを見極めることが、スクリーニング設計や寿命予測、保証期間設定の出発点となります。本記事ではバスタブ曲線の考え方と各故障期の特徴、実務での活用方法を解説します。

バスタブ曲線とは——3つの故障期

バスタブ曲線は横軸に時間、縦軸に故障率をとったグラフで、浴槽(バスタブ)のような形状を描くことからこの名がついています。製品出荷直後は設計・製造上の潜在的欠陥に起因する故障率が高く時間とともに急速に低下する「初期故障期」、その後は故障率がほぼ一定で低い水準を保つ「偶発故障期」、そして部品の摩耗・劣化が進行し故障率が再び上昇していく「摩耗故障期」の3段階で構成されます。

各故障期の原因と対策

故障期故障率の傾向主な原因主な対策
初期故障期時間とともに減少設計不良、製造ばらつき、初期不良品の混入スクリーニング(エージング)、バーンイン試験、工程管理強化
偶発故障期ほぼ一定(低水準)予測困難な突発的要因、想定外の過大ストレス余裕設計、使用環境の管理、定期点検
摩耗故障期時間とともに増加経年劣化、疲労蓄積、摩耗・腐食の進行寿命予測に基づく交換・保全計画、加速寿命試験による寿命推定

コネクタ・ハーネス品質保証への応用

  • 初期故障を市場流出前に検出するため、通電・振動などのスクリーニング試験や工程内検査を強化する
  • 偶発故障期の低故障率を維持するため、想定される使用環境(温湿度・振動・電流)に対する余裕設計を行う
  • 摩耗故障期の開始時期を把握するため、加速寿命試験やカレントサイクル試験により経年劣化の進行を予測する
  • 保証期間・耐用年数の設定はバスタブ曲線上でどの故障期に相当するかを踏まえて検討する

信頼性設計における留意点

実際の製品では3つの故障期が明確に分離されるとは限らず、複合的な故障モードが重なり合うことも少なくありません。またコネクタのように多数の部品(端子・ハウジング・シール材など)で構成される製品は、部品ごとに異なる故障期の特性を持つため、システム全体としての故障率は個々の部品の故障モードの重ね合わせとして評価する必要があります。フォスターでは信頼性試験計画の策定段階から、想定される故障モードに応じた試験項目の設計を支援しています。


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よくある質問

初期故障を減らすにはどうすればよいですか?

出荷前にバーンイン試験や通電スクリーニングを実施し、潜在的な不良品を市場投入前に検出・除去することが有効です。あわせて製造工程のばらつき低減も重要です。

偶発故障期の故障率が一定に見えるのはなぜですか?

この期間の故障は予測困難なランダムな要因(突発的な過大ストレスなど)によって発生するため、統計的には一定の確率で発生する故障として近似されます。

摩耗故障期の開始時期はどのように予測しますか?

加速寿命試験によって通常使用条件よりも厳しい環境(高温・高湿・高電流など)でストレスを与え、得られたデータから加速係数を用いて実使用条件での寿命を推定します。

バスタブ曲線はすべての製品に当てはまりますか?

典型的なモデルとして広く用いられますが、製品や故障モードによっては摩耗故障期が明確に現れない場合や、初期故障期と偶発故障期が重なる場合もあり、実測データに基づく検証が推奨されます。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。