アイゾット衝撃強度とシャルピー衝撃強度の規格と材料選定

概要

樹脂材料の耐衝撃性を評価する代表的な試験に「アイゾット衝撃試験」と「シャルピー衝撃試験」があります。同じ振り子式の衝撃試験でありながら、試験片の固定方法や打撃方向が異なるため得られる強度値も異なります。本ページでは両者の違いと規格、材料選定における注意点を解説します。

アイゾット衝撃試験とは

アイゾット衝撃試験は、試験片の一端を垂直に固定(片持ち梁)し、切欠きを打撃側に向けた状態で振り子ハンマーを打ち込み、破壊に要したエネルギーを測定する試験方法です。ISO 180やJIS K 7110系(近年はISO統合により整理)に規定されており、北米市場向けの樹脂材料データシートではアイゾット値(IZOD値、単位J/mまたはJ/m2)が標準的に採用されています。切欠き付き試験片を用いるのが一般的で、切欠き底の応力集中を起点とした脆性破壊挙動を評価します。

シャルピー衝撃試験とは

シャルピー衝撃試験は、試験片を両端支持の単純梁状態で水平に置き、切欠きの反対側(背面)を振り子ハンマーで打撃して破壊エネルギーを測定する方法です。ISO 179やJIS K 7111に規定されており、欧州・日本市場向けの樹脂データシートで広く採用されています。試験片支持方法がアイゾットと異なるため、同一材料でもアイゾット値とシャルピー値を単純に換算することはできません。

アイゾットとシャルピーの主な違い

項目アイゾット衝撃試験シャルピー衝撃試験
試験片固定片持ち梁(一端固定)単純梁(両端支持)
打撃位置切欠き側を打撃切欠き背面を打撃
主な規格ISO 180、JIS K 7110系ISO 179、JIS K 7111
主な使用地域・業界北米中心欧州・日本中心
単位J/m(切欠き単位長さ当たり)kJ/m2(断面積当たり)

材料選定における留意点

  • データシート比較時は必ず試験規格(ISO/ASTM/JIS)と単位を確認する
  • 切欠きの有無・切欠き半径で結果が大きく変わるため条件を揃えて比較する
  • 低温環境で使用する部品は低温下での衝撃値低下(脆化)を確認する
  • ガラス繊維強化材は繊維配向方向により衝撃値が異方性を持つ
  • 衝撃試験値は落下衝撃試験など実使用に近い評価と併せて判断する

フォスターでの評価アプローチ

フォスターでは、コネクタやハウジング部品の耐衝撃性評価として、実製品形状での落下衝撃試験や衝撃試験、車両搭載を想定したコネクタ衝突破損特性評価など、規格試験片によるデータだけでは分からない実使用条件下での破壊挙動評価をご提案しています。材料データシート上のアイゾット・シャルピー値と実製品評価を組み合わせることで、より実態に即した材料選定が可能になります。


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よくある質問

アイゾット値とシャルピー値は換算できますか?

試験片の支持・打撃方法が異なるため単純な換算式はなく、同一条件での比較にはそれぞれの規格値を個別に参照する必要があります。

なぜ切欠きを入れて試験するのですか?

切欠きにより応力集中を人為的に発生させ、実使用時に傷や成形不良で生じる応力集中部の脆性破壊挙動を再現するためです。

低温で樹脂の衝撃強度が下がるのはなぜですか?

低温では分子鎖の運動性が低下し材料が脆化するため、常温では延性的な破壊が低温では脆性破壊に転じることがあります。

規格試験値だけで実製品の耐衝撃性を保証できますか?

できません。試験片と実製品では形状・肉厚・応力集中条件が異なるため、落下衝撃試験など実製品評価との併用が推奨されます。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。