自然対流・強制対流の熱伝達率とコネクタ冷却設計

概要

株式会社フォスターでは、コネクタ部品の通電・温度上昇評価試験を実施しており、設置環境の対流条件が温度上昇に与える影響の評価をサポートしています。

コネクタは多くの場合、ハウジング表面からの空気への熱放散(対流)で冷却されます。対流には流体が温度差で自然に流れる「自然対流」と、ファンや走行風で強制的に流れる「強制対流」があり、それぞれ熱伝達率が大きく異なります。適切な冷却設計のためには設置環境での対流形態を把握することが重要です。

自然対流と強制対流の熱伝達率の比較

熱伝達率h(W/m²·K)はニュートンの冷却法則Q = h·A·ΔT(Q:熱流量、A:面積、ΔT:温度差)に現れる係数です。自然対流より強制対流の方が10〜100倍程度大きな熱伝達率が得られます。

対流形態熱伝達率h(W/m²·K)目安代表的な環境コネクタへの適用
自然対流(空気中)5〜25静止空気中・室内設置車室内・ECUボックス内
強制対流(低速:1m/s)20〜100弱い気流・ファン近傍エンジンルーム(走行時)
強制対流(高速:10m/s)100〜500強制冷却ファン・高速走行空冷モジュール
液冷(水冷)500〜10000水冷ジャケットEV・HV冷却ループ

コネクタ配置と対流設計のポイント

コネクタを垂直面に配置すると自然対流が促進されます(上方への空気流れを妨げない方向)。水平面・下面では対流が弱まり同じ発熱量でも温度が高くなります。エンジンルームでは走行風の方向とコネクタの向きを合わせることで強制対流の冷却効果を最大化できます。


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よくある質問

ヌセルト数・プラントル数・レイノルズ数はコネクタ設計で使うか?

基本的な自然対流の熱伝達率推定(Gratz-Leveque式、Churchill-Chu式等)で使います。ただし実際のコネクタではFEA熱流体解析(CFD)で評価することが多いです。

周囲温度85℃と125℃でコネクタ冷却能力はどう変わるか?

自然対流熱伝達率はΔTの1/4乗に比例(層流自然対流の場合)するため、端子温度が設計上限(例:140℃)との差ΔTが85℃環境では55K、125℃環境では15Kとなり、冷却能力が約3分の1以下になります。許容電流も低下します。

コネクタ内部でのヒートパイプは使われるか?

一般的なコネクタでは使用されませんが、大電流EV用のバスバーコネクタでは内部液冷路を設けた構造が開発されています。

輻射冷却はコネクタに有効か?

輻射冷却はεσT⁴(ε:放射率、σ:ステファン-ボルツマン定数)に比例し、温度が高いほど有効です。樹脂ハウジングの放射率は約0.85〜0.9と高く、高温環境での輻射冷却への寄与は無視できません。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。