断線とは?金属疲労・屈曲で電線が導通しなくなるメカニズム

概要

「イヤホンの片方だけ音が出なくなった」「充電ケーブルの根元で充電できなくなった」——こうした身近なトラブルの多くは断線が原因です。
断線とは、電線やケーブル内部の導体が物理的に破断し、電気が流れなくなる現象です。自動車用ワイヤーハーネスやコネクタでは、繰り返しの屈曲や振動、引張荷重などによって金属疲労が進行し、断線が発生することがあります。
断線は完全に導通しなくなるだけでなく、断線直前には瞬間的な導通不良(間欠断線)が発生する場合もあり、故障解析が難しい不具合の一つです。
自動車部品・コネクタ・ワイヤーハーネスの受託試験および評価解析を行う株式会社フォスターが、断線の発生メカニズム、原因、評価方法、対策について実務経験をもとに解説します。

1.断線とは?

断線とは、電線やケーブル内部の導体(銅線など)が物理的に切れ、電流が流れなくなる現象です。
接触不良が接点の状態によって導通が不安定になる現象であるのに対し、断線は導体そのものが破断するため、自然に回復することは
ほとんどありません。
また、完全に断線する前には一部の素線だけが切れた状態となり、振動や屈曲によって導通と断線を繰り返す「間欠断線」が発生することもあります。

2.断線が起こる主なメカニズム

原因発生メカニズム影響
金属疲労繰り返し曲げられることで微細なき裂が成長する素線破断
繰り返し屈曲可動部で屈曲を繰り返す断線寿命の低下
過度な引張荷重導体が塑性変形する導体切断
圧着不良圧着時に素線を損傷する早期断線
振動共振や繰返し応力が加わる疲労破壊
経年劣化腐食や材料劣化が進行する強度低下

3.断線によって発生する不具合

断線が進行すると、電気的・機械的な不具合が発生します。

症状発生内容影響
完全断線導体が破断する機器停止
間欠断線導通と断線を繰り返す誤作動・故障解析が困難
接触抵抗増加素線切れが進行する発熱・電圧降下
機能停止電装品へ電力供給できないECU・センサ異常

自動車ではパワーウィンドウやサイドミラーだけでなく、センサやECUへの配線で断線が発生すると、安全性に関わる重大な故障につながることがあります。

4.断線リスクの評価方法

断線は実際の使用環境を模擬した耐久試験によって評価します。

評価項目確認内容代表的な試験方法
耐屈曲性繰返し曲げによる寿命を確認屈曲試験
引張強度ケーブル・端子接続部の強度を確認ケーブル引張強度試験
圧着品質圧着部の強度・破断状態を確認端子圧着部強度試験
瞬断監視耐久中の導通状態を確認瞬断モニタ
振動耐久走行振動による断線を評価振動試験

断線を防ぐための対策

断線は設計段階から対策することが重要です。

  • 可とう性の高い電線や細線構成を採用する
  • 屈曲半径を適切に設計する
  • クランプ位置を最適化し応力を分散する
  • 圧着条件を適正に管理する
  • 振動や屈曲を想定した耐久試験を実施する

これらを組み合わせることで、ワイヤーハーネスやコネクタの長期信頼性を向上させることができます。

フォスターによる断線評価

株式会社フォスターでは、自動車用ワイヤーハーネスやコネクタを対象に、断線リスクの評価試験に対応しています。
ケーブル引張強度試験、端子圧着部強度試験、振動試験、瞬断モニタリングなどを組み合わせ、実使用環境を想定した耐久評価を実施しています。また、試験後には破断部の観察や解析を行い、断線原因の特定や設計改善をサポートしています。


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よくある質問

断線したケーブルは自分で直せますか?

家庭用の延長コードなど簡易なものであれば修理できる場合もありますが、自動車のハーネスなど複雑な配線は専門知識が必要なため、無理に自己修理せず専門業者に相談することをおすすめします。

断線と接触不良の違いは何ですか?

断線は導体そのものが物理的に切れる現象、接触不良は部品同士の接触が不完全になる現象です。断線は基本的に自然回復しませんが、接触不良は振動などで一時的に直ることがあります。

断線しやすい場所の見分け方はありますか?

ドアの開閉部やヒンジ部分など、日常的に曲げ伸ばしされる箇所は断線リスクが高い傾向にあります。設計段階での屈曲を想定した試験による評価が有効です。

金属疲労とはどのような現象ですか?

金属に繰り返し力が加わることで、内部に微細なき裂が発生・成長し、最終的に破断してしまう現象です。一度に大きな力を加えなくても、繰り返しの負荷だけで壊れる点が特徴です。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。