手はんだ付けの適正温度と熱容量とは?
手はんだ付けは、試作・修理・スルーホール部品の実装などで広く使用される一方、コテ先温度、加熱時間、部品の熱容量、コテ先形状、フラックスなどの条件が適切でないと、はんだ濡れ不良、ブリッジ、ツノ(スパイク)、コールドジョイントなどの不良につながります。
特に鉛フリーはんだは有鉛はんだと比較して融点が高いため、適切な温度管理と十分な熱供給が重要です。
本ページでは、手はんだ付けにおける適正温度と熱容量の考え方、代表的なはんだの温度条件、発生しやすいはんだ不良と対策について解説します。
はんだ付けの適正温度
はんだ付けでは、はんだの融点より高い温度で接合部を加熱する必要があります。
ただし、コテ先から接合部へ熱が伝わる際には温度が低下するため、コテ先設定温度と実際の接合部温度は同じではありません。
代表的なはんだの条件は以下のとおりです。
| はんだ種類 | 融点の目安 | コテ先温度の目安 | 加熱時間の目安 |
|---|---|---|---|
| SAC305(鉛フリー) | 約217℃ | 320~380℃ | 3~5秒程度 |
| Sn60Pb40(有鉛) | 約183~190℃ | 270~320℃ | 2~4秒程度 |
| SAC105(鉛フリー) | 約217~225℃ | 320~380℃ | 3~5秒程度 |
| Bi系低温はんだ | 約138~160℃ | 200~260℃程度 | 2~4秒程度 |
※一般的な目安であり、実際の条件は使用するはんだ、端子、基板、電線、コテ先などによって異なります。
熱容量とは?
熱容量とは、物体の温度を1℃上昇させるために必要な熱量の大きさです。
はんだ付けでは、端子やランド、電線などの熱容量が大きいほど温度が上がりにくく、より多くの熱を供給する必要があります。
例えば、太い端子や電線では熱が周辺へ逃げやすいため、細い端子と同じ温度・時間で加熱しても接合部が十分に加熱されない場合があります。
そのため、適正条件はコテ先温度だけでなく、加熱時間と熱容量を合わせて考えることが重要です。
はんだ付け条件に影響する主な要因
| 要因 | 主な影響 |
|---|---|
| コテ先温度 | 接合部への熱供給 |
| 加熱時間 | 供給される総熱量 |
| 端子・ランドの熱容量 | 温度上昇のしやすさ |
| 電線の太さ | 熱の逃げやすさ |
| コテ先形状 | 熱伝達効率 |
| フラックス | はんだ濡れ性 |
| はんだ種類 | 融点・必要温度 |
はんだ付けで発生しやすい不良
温度や加熱条件が適切でない場合、以下のような不良につながることがあります。
| 不良 | 主な原因 |
|---|---|
| はんだ濡れ不良 | 加熱不足、酸化、フラックス不足など |
| コールドジョイント | 加熱不足など |
| ブリッジ | はんだ量過多、端子間隔など |
| ツノ(スパイク) | はんだの引き上げ・凝固条件など |
| ボイド | フラックスやガスの残留など |
| ランド剥離 | 過度な加熱や機械的負荷など |
特にコールドジョイントやボイド、クラックなどは、外観だけでは判断が難しい場合があります。
はんだ接合部の評価・断面解析
はんだ付け部の状態を詳しく確認する場合は、断面観察が有効です。
断面解析では、以下のような状態を確認できます。
- はんだの濡れ状態
- 端子・ランドとの接合状態
- ボイド・クラック
- 未接合部
- 異物の混入
- 接合部の形状
「はんだが付いているように見えるが、内部まで十分に接合できているのか」といった確認にも活用できます。
株式会社フォスターのはんだ付け評価
株式会社フォスターでは、自動車用コネクタ・端子・ワイヤーハーネスなどを対象に、はんだ付け部の評価・断面解析を受託しています。
外観確認だけでは判断できないはんだ接合部の状態について、断面観察による評価や不具合原因の調査に対応しています。
試作品評価、品質確認、不具合解析など、お客様の目的に応じた評価が可能です。
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よくある質問
コテ先温度が高すぎるとどうなるか?
PCBランドの剥離・はんだ内のフラックス急激揮発によるボイド形成・部品の熱ダメージ(特にコンデンサ・水晶振動子)が発生します。また銅箔の過剰溶解も起きます。
フラックス洗浄は必要か?
残留フラックスの種類によります。洗浄不要のNO-CLEANフラックスは水分・イオン性不純物が少なく絶縁信頼性が確保されています。ただし車載や高信頼性用途では洗浄を実施することが多いです。
適正なはんだ量の判断方法は?
スルーホール部品ではビア穴のはんだ充填率75%以上(IPC-A-610)、フィレット角度45〜135°が目安です。表面実装では部品端子全周にメニスカス(内凹み形状)のフィレットが形成されていることが良品の基準です。
鉛フリーはんだ作業で最も多い不具合は?
融点が高いSAC305は加熱不足になりやすく、コールドジョイントが最も多い不具合です。また融点範囲(217〜220℃)が狭く、温度が不均一だとツノ(スパイク)が残りやすいです。
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株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは、自動車部品(コネクタ・ワイヤーハーネス・圧着端子)を中心とした受託試験・信頼性評価を行っております。 環境試験、電気特性試験、機械的特性試験、不具合解析など幅広い評価に対応し、お客様の開発・品質保証をサポートいたします。
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技術担当者が目的や条件を確認し、最適な試験方法をご提案いたします。


