鉛フリーはんだ(SAC305)の組成と車載実装での特徴

概要

株式会社フォスターでは、SAC305はんだを使用した車載電子部品の実装品質評価・断面解析・温度サイクル信頼性試験を実施しています。

SAC305(96.5Sn-3.0Ag-0.5Cu)は鉛フリーはんだの事実上の世界標準です。RoHS指令対応・環境規制への準拠から車載電子機器でも主流となっていますが、融点が有鉛はんだより高く、接合部の機械特性・クリープ特性が異なるため、実装条件と信頼性評価の管理が重要です。

SAC305の組成と主要特性

SAC305は錫(Sn):96.5%・銀(Ag):3.0%・銅(Cu):0.5%の合金です。AgとCuの添加でSn単体より融点・強度・クリープ耐性が向上しています。

特性SAC305Sn63Pb37(有鉛)備考
融点217〜220℃(準共晶)183℃(共晶)SAC305は温度範囲が狭い
引張強度(室温)約45〜55 MPa約30〜40 MPaSAC305の方が強い
伸び約30〜50%約40〜60%有鉛の方が延性が高い
クリープ耐性中程度(室温0.6Tm近傍)低(室温0.65Tm近傍)両方ともクリープしやすい
ウィスカー発生リスク低(Pbが抑制)Sn系は高リスク(SAC305は中)
リフロー最高温度245〜260℃210〜230℃SAC305は基板に高い耐熱要求

車載実装での信頼性課題

車載温度サイクル(−40℃〜+125℃)では、SAC305接合部のCTE不一致によるせん断ひずみが累積し、クリープ疲労による亀裂が発生します。この亀裂進展寿命はCoffinManson則に基づいて評価されます。銀(Ag)含有量を増やすほど強度は上がりますが脆性増加のトレードオフがあります。


関連する試験

関連するページ

よくある質問

SAC305のリフロー条件はどう設定するか?

IPC/JEDEC J-STD-020に基づき、ピーク温度250〜260℃、260℃以上の滞留時間は30秒以内、217℃以上の滞留時間は60〜90秒が目安です。基板の高Tgグレード(170℃以上)選定も必要です。

Snウィスカーとは何か?なぜ問題か?

Sn系はんだや錫めっきから発生する針状の金属結晶(ウィスカー)です。長さが数μm〜数mmになることがあり、隣接電極との短絡を引き起こします。有鉛はんだではPbがウィスカー成長を抑制しますが、鉛フリー化でリスクが増加しました。

SAC305と他の鉛フリーはんだ(SAC105・Sn58Bi等)の使い分けは?

SAC305は標準車載実装に最も普及しています。SAC105はAgが少なくコスト低、低温はんだ(Sn58Bi:融点138℃)は耐熱性の低い部品の実装に使います。EV大電流部品ではより高強度のSAC387も使われます。

接合部断面で観察されるAg₃Sn析出物は問題か?

Ag₃Snは正常な金属間化合物です。粗大な板状Ag₃Sn(板状IMC)が析出すると接合部の脆性が増す場合があります。急冷で微細化することで機械特性を向上させることができます。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。