熱電能(ゼーベック係数)の金属材料別一覧と選定基準

概要

株式会社フォスターでは、コネクタ接続部の熱電測定・温度評価を実施しており、材料選定に必要な熱電特性の評価をサポートしています。

ゼーベック係数(熱電能)Sは、温度差1Kあたりに生じる起電力(μV/K)で定義される材料固有の物性値です。熱電対材料・熱電発電素子の選定において最も重要なパラメータであり、高いS値を持つ材料は高感度の温度測定・高効率の熱電変換を実現します。コネクタ材料選定では異種金属接触部の熱電効果を最小化するか利用するかの判断に使います。

主要金属・半導体のゼーベック係数一覧

ゼーベック係数は正(電子濃度が低温端に多い)と負(高温端に多い)のどちらにもなります。白金(Pt)を基準(S=0)として相対値で表す場合もあります。

材料ゼーベック係数S(μV/K)符号主な用途
ビスマス(Bi)約−60〜−70熱電対(−線)・熱電素子
コンスタンタン(CuNi)約−40〜−50J型・T型熱電対(−線)
ニッケル(Ni)約−18〜−20参照電極
白金(Pt)約−5〜0基準熱電対基準・測温抵抗体
銅(Cu)約+1.8T型熱電対(+線)
鉄(Fe)約+13〜+18J型熱電対(+線)
クロメル(NiCr)約+22〜+25K型・E型熱電対(+線)
Bi₂Te₃(半導体)約+200〜+300(P型)熱電発電・ペルチェ素子

熱電対選定でのゼーベック係数の活用

熱電対の感度は2種類の材料のゼーベック係数差(ΔS)で決まります。K型(クロメル-アルメル)のΔSは約+22-(-18) = 約40 μV/Kとなり、1℃あたり約40 μVの出力感度を持ちます。この値が大きいほど高精度な温度計測が可能です。


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よくある質問

ゼーベック係数は温度依存するか?

はい。金属では温度とともにゆるやかに変化します(K型で−200〜1200℃で数%変動)。熱電対のJIS換算表・NIST基準テーブルはこの非線形性を補正しています。

高いS値の材料が常に良い熱電材料か?

いいえ。熱電変換効率ZT = S²σ/(λ) で評価され、Sだけでなく電気伝導率σが高く熱伝導率λが低いことが必要です。ウィーデマン・フランツ則からσとλはトレードオフの関係にあります。

コネクタ端子材料のゼーベック係数は問題になるか?

リン青銅・ベリリウム銅のS値は数μV/K程度と小さく、通常のコネクタ設計では問題になりません。ただし精密計測回路ではゼロ点誤差として現れる場合があります。

2つの異なる金属端子を接続した場合に起電力が発生するか?

はい。異種金属接続部には温度差がなくても電位差(接触電位差)があります。温度勾配があればゼーベック熱起電力が追加されます。精密回路では同一材料の端子を使うことが推奨されます。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。