概要
プリント基板(PCB)の銅箔配線は電流を流すと発熱し、過大な電流では銅箔が溶断・基板材料が劣化します。株式会社フォスターでは、PCBコネクタ・基板実装端子に関連した接触抵抗測定・高温放置試験・断面構造検査を受託しており、基板接続部の信頼性評価をサポートしています。
PCBの許容電流はIPC-2221(旧MIL-STD-275)などの規格に基づいて算出され、銅箔厚み(18μm/35μm/70μm等)・パターン幅・温度上昇量・外層/内層の区別によって値が異なります。正確な許容電流の把握は、基板の熱設計・パターン設計において不可欠です。
銅箔厚みと断面積の計算
PCBの銅箔はoz(オンス)または μm(マイクロメートル)で厚みを表します。1oz(1オンス)は約35μm(34.79μm)に相当し、0.5oz=18μm、2oz=70μmが一般的な規格値です。パターンの断面積は「銅箔厚み(μm)×パターン幅(mm)」で計算できます(単位変換注意)。この断面積が電流経路の有効面積となります。
IPC-2221Aの許容電流計算式(一般的に使われる近似式)は:I = k × ΔT^0.44 × A^0.725 です。ここでIは電流[A]、kは係数(外層0.048、内層0.024)、ΔTは許容温度上昇[℃]、Aは銅箔断面積[mil²]です。単位が[mil]系であるため、mm・μmからの変換が必要です(1mil=25.4μm)。
| 銅箔厚み | パターン幅 | 外層 許容電流目安(ΔT=10℃) | 内層 許容電流目安(ΔT=10℃) |
|---|---|---|---|
| 18μm(0.5oz) | 0.5mm | 約0.8A | 約0.5A |
| 18μm(0.5oz) | 1.0mm | 約1.4A | 約0.9A |
| 35μm(1oz) | 0.5mm | 約1.2A | 約0.8A |
| 35μm(1oz) | 1.0mm | 約2.1A | 約1.3A |
| 35μm(1oz) | 2.0mm | 約3.5A | 約2.2A |
| 70μm(2oz) | 1.0mm | 約3.2A | 約2.0A |
| 70μm(2oz) | 2.0mm | 約5.4A | 約3.4A |
外層パターンと内層パターンの許容電流の違い
外層(表面・裏面)パターンは空気との直接接触により放熱しやすいため、内層パターンより許容電流が大きくなります。IPC-2221Aでは外層のk係数を0.048、内層を0.024と規定しており、同じ断面積でも内層の許容電流は外層の約半分となります。電源回路や大電流パターンは可能な限り外層に配置することが設計の基本です。
多層基板では内層のグランドプレーンや電源プレーンを通じた熱伝導効果もあるため、単純計算より若干高い電流を流せる場合があります。ただし保守的な設計では計算値に一定のマージン(80%設計など)を設けることが推奨されます。
PCB基板パターンの信頼性評価と断面検査
PCBの銅箔パターンの信頼性評価には断面構造検査が有効です。断面研磨後の光学顕微鏡・電子顕微鏡(SEM)観察により、銅箔の実際の厚み・均一性・ビアホールの充填状態・はんだ接続部の内部構造を確認できます。設計値と実際の銅箔厚みに差異がある場合、許容電流の再計算が必要となります。
フォスターでは、基板実装コネクタや基板上の接触抵抗測定(接触部発熱の評価)、高温放置試験(熱環境での基板・接続部信頼性評価)、および断面構造検査を受託しています。PCBと接続されるコネクタ・ソケットの接触信頼性評価と合わせてご依頼いただくことが可能です。
- 断面構造検査:実際の銅箔厚みと均一性の確認
- 接触抵抗測定:基板コネクタ接続部の電気的接触品質評価
- 高温放置試験:熱環境下での接続信頼性確認
- クロスセクション(断面SEM):ビアホール・はんだ接合内部の観察
関連する試験
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よくある質問
銅箔1ozとは何μmですか?
1oz(1オンス)の銅箔は1平方フィートあたり1オンスの銅の重量に相当し、厚みは約34.79μm(≒35μm)です。0.5oz≒18μm、2oz≒70μmと覚えておくと便利です。
内層パターンの許容電流が外層より少ないのはなぜですか?
内層は基材(ガラスエポキシ)に挟まれた状態にあり、空気への放熱経路がないため熱がこもりやすく許容電流が低くなります。IPC-2221Aでは内層の係数kを外層の半分(0.024 vs 0.048)に設定しており、同じ断面積で内層の許容電流は外層の約50〜60%です。
フォスターでPCB基板の断面検査を依頼できますか?
はい、可能です。基板(実装前・実装後いずれも可)を試料としてお持ち込みいただければ、指定断面の樹脂埋め・研磨・光学顕微鏡観察を実施します。銅箔厚み・ビアホール・はんだ接合の内部確認にご活用いただけます。
許容電流の計算値に対してどのくらいのマージンをとればよいですか?
IPC基準の計算値に対して、80%設計(計算値の80%以下の電流を設計最大値とする)が一般的です。エンジンルームなど高温環境では温度補正も加えて、さらに余裕を持った設計が推奨されます。最終的には実際の動作条件での発熱確認試験による検証が最も確実です。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。
