概要
株式会社フォスターでは、コネクタ・基板接続部の信頼性評価として耐湿性試験・温湿度サイクル試験・腐食ガス試験を実施しており、イオンマイグレーションによる絶縁低下の評価にも対応しています。イオンマイグレーションとは、高湿度環境下で金属イオンが電界に沿って移動・析出し、絶縁体上に金属樹枝状結晶(デンドライト)を形成する現象です。
プリント基板の隣接パターン間や、コネクタ端子間の絶縁部にデンドライトが形成されると絶縁抵抗が急低下し、最終的に短絡(ショート)に至ります。特に銀(Ag)と銅(Cu)はイオンマイグレーションを起こしやすく、高密度実装・微細ピッチ化が進む現代の電子部品で重大なリスクとなっています。
イオンマイグレーションの発生メカニズム
イオンマイグレーションは①水分の存在(結露・吸湿)、②電位差(バイアス電圧)、③イオン化しやすい金属(Ag・Cu・Snなど)の3条件が揃うことで発生します。アノード側の金属がイオン化(酸化溶解)し、水分薄膜を経路として電界に引かれてカソード側へ移動・析出します。
析出した金属がデンドライト(樹枝状結晶)を形成し、アノード-カソード間を橋絡すると短絡が完成します。Agは特にマイグレーション速度が速く、基板上の銀電極・銀ペースト配線では数時間〜数十時間で短絡に至るケースがあります。Cuのマイグレーションは比較的遅いですが、ハロゲン不純物存在下では促進されます。
コネクタ・基板での影響と事例
コネクタのハウジング内部に水分が侵入した場合、端子間の絶縁部(樹脂表面)でイオンマイグレーションが発生します。特に微細ピッチ(0.5〜1.0mmピッチ)のコネクタでは端子間絶縁距離が短く、デンドライト形成による短絡リスクが高まります。
基板上のコネクタフットプリント近傍でも、フラックス残渣・汚染物がイオン供給源となり、通電時の高湿度環境でマイグレーションが進行します。このため、基板洗浄・防湿コーティング(コンフォーマルコーティング)の管理がイオンマイグレーション対策として有効です。
イオンマイグレーション評価試験
イオンマイグレーションの評価には、高温高湿バイアス試験(HHBT:Temperature Humidity Bias Test)が代表的で、試験条件は85℃/85%RH/バイアス電圧印加が一般的(IEC 60068-2-67など)です。試験中の絶縁抵抗をモニタリングし、急低下のタイミングをショート発生と判定します。
フォスターでは耐湿性試験・温湿度サイクル試験・腐食ガス試験を通じてイオンマイグレーションに関連する環境ストレスの付与と、試験後の絶縁抵抗測定を実施します。コネクタ・基板接続部の絶縁信頼性評価に関するご相談をお受けしています。
関連する試験
関連するページ
- 絶縁抵抗の定義・測定原理とコネクタでの合格基準
- パッシベーション(不動態皮膜)とは?金属防食の化学的役割
- ガルバニ電池(化学電池)の起電力発生プロセスと応用
- FR-4基板の特性と耐熱温度(Td/Tg)と選定ポイント
- 金めっきの厚み基準とコネクタ信頼性の関係
よくある質問
イオンマイグレーションとは何ですか?
高湿度環境下で金属イオンが電界に沿って移動し、絶縁体表面に樹枝状の金属(デンドライト)を形成する現象です。基板パターン間やコネクタ端子間で短絡を引き起こします。
イオンマイグレーションを起こしやすい金属は?
銀(Ag)が最もマイグレーション速度が速く、次いで銅(Cu)・スズ(Sn)・鉛(Pb)が挙げられます。AgはAg電極・銀ペースト・Agめっき接点で問題となります。
イオンマイグレーションを防ぐ方法は?
①防湿コーティング(コンフォーマルコーティング)、②端子間距離の拡大(ピッチ増加)、③Ag使用量の低減・代替材選定、④基板の徹底洗浄(フラックス残渣除去)、⑤防水シールによる水分遮断が有効です。
HHBT(高温高湿バイアス試験)とはどういう試験ですか?
85℃/85%RHの高温高湿環境下でバイアス電圧を印加しながら絶縁抵抗を連続モニタリングする試験です。デンドライト形成による短絡発生時間(TTF:Time To Failure)を評価します。
フォスターでイオンマイグレーション評価はできますか?
直接のHHBTではなく、耐湿性試験・温湿度サイクル試験・腐食ガス試験と組み合わせた環境ストレス付与および試験後の絶縁抵抗測定での評価が可能です。詳細はお問い合わせください。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。
