電圧-温度定理(V-T定理)とコネクタ通電発熱の限界

概要

株式会社フォスターでは、コネクタの通電試験・接触抵抗測定・温度上昇評価を実施しており、V-T定理に基づいた電流容量の妥当性検証をサポートしています。

V-T定理(電圧-温度定理)は、コネクタの接触部における電圧降下と温度上昇の関係を規定する半経験的な法則です。接触部の「軟化電圧」・「融解電圧」という特性値が接触点の局所最高温度を規定しており、これを超えると接触点が変形・溶融し接触信頼性が急激に低下します。

V-T定理の定義と接触電圧の特性値

接触点の局所温度Tは接触部の電圧降下Vと V² ∝ T の関係(定性的に)で結びついています。各金属の「軟化電圧Vs」(接触点材料が軟化し変形する電圧)と「融解電圧Vm」(溶融する電圧)は材料固有の値として定義されます。

材料軟化電圧Vs(mV)融解電圧Vm(mV)軟化温度融解温度
錫(Sn)約40〜45约100〜110約175℃約232℃
銀(Ag)約90〜100約370約190℃約961℃
金(Au)約120约430約200℃約1064℃
銅(Cu)約120〜130约430約190℃約1083℃
ニッケル(Ni)約160約530約240℃約1455℃

通電容量設計への応用と試験評価

設計では接触部の電圧降下をVs以下に抑えることで接触点の熱損傷を防止します。Snめっき端子では軟化電圧40〜45mVが設計限界となり、これを超えると接触点のSnが変形・移動し接触抵抗が急増します。通電試験では接触部の電圧降下を計測し、V-T定理の限界値との比較で合否を判断します。


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よくある質問

V-T定理は何に基づく法則か?

ウィーデマン・フランツ則とフーリエ熱伝導則を組み合わせた理論から導かれ、接触点の発熱と熱伝導のバランスから温度と電圧の関係式が得られます。実験的に検証された半経験則です。

Snめっき端子が融解電圧を超えるとどうなるか?

Snが局所的に溶融し流れ出し(Snブリッジ形成)、接触点が変形して接触抵抗が急増します。最終的には溶着(冷却後に接合されたまま)し、離脱力の急増・接点損傷が発生します。

大電流コネクタ(数百A)でのV-T管理は?

大電流では接触抵抗をmΩオーダーに下げ、多点接触または大面積接触構造を採用します。並列接触パスの設計でV-T定理の限界内に収める設計が重要です。

V-T定理のV(電圧)は全体の電圧降下ではないか?

V-T定理のVは接触点の「局所的な電圧降下」(接触スポット抵抗分のみ)です。端子全体の電圧降下には導体部の抵抗も含まれるため区別が必要です。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。