概要
自動車の電動化が進む中、車載電装システムは12V系から48V系、さらにHEV/BEVの高電圧系(200V〜800V)へと多様化しています。株式会社フォスターでは、各電圧系統のコネクタに要求される耐熱性・耐振動性・耐湿性・挿抜耐久性を評価する受託試験を実施しています。
本ページでは、12V系・48Vマイルドハイブリッド系・HEV/BEV高電圧系の違いと、それぞれのコネクタへの要求仕様の違いを整理します。フォスターで対応可能な試験との関連も合わせて解説します。
12V系(従来ガソリン車・補機系)
12V系は従来のガソリン車から現在に至るまで最も広く使用される電装システムで、鉛蓄電池を電源とします。エンジン制御・ライト・エアコン・パワーウインドウなどほぼすべての補機類が12V系で動作します。
12V系のコネクタは比較的要求が緩やかですが、エンジンルーム内では振動・高温・オイル雰囲気への耐性が要求されます。一般的に−40〜125℃の温度範囲での動作が保証されます。
48V系(マイルドハイブリッド)
48Vマイルドハイブリッドシステムは、回生ブレーキによる電力回収と電動アシストを低コストで実現するシステムです。EU規制対応として欧州自動車メーカーが積極的に採用しています。人体安全電圧(60VDC未満)のため、高電圧安全規制の対象外ですが、12Vより高い電流・電圧への対応が必要です。
48Vコネクタには、12V系より高い絶縁耐圧と大電流対応(最大100A程度)が求められます。また12V/48V間のDC-DCコンバータ付近は発熱が大きく、高温放置試験での確認が重要です。
HEV/BEV高電圧系(200V〜800V)
HEV(ハイブリッド電気自動車)は200〜400V、BEV(バッテリー電気自動車)は400〜800VのDC高電圧系を搭載します。この電圧域は人体に危険な高電圧(FHEV/BEVでは60VDC以上が特別要求対象)であり、コネクタには非常に高い絶縁性能・安全機能が要求されます。
高電圧コネクタへの主な要求として、高絶縁抵抗(500MΩ以上)・嵌合確認機能(SRS/HVILなど)・誤嵌合防止・コネクタ嵌合状態での高電圧遮断(CPA)などがあります。
| 電圧系統 | 電圧範囲 | 電源 | 主な用途 | コネクタへの主要求 |
|---|---|---|---|---|
| 12V系 | 9〜16V | 鉛蓄電池 | 補機全般 | 耐熱・耐振動・耐油 |
| 48V系 | 36〜52V | リチウムイオン電池 | 回生・電動アシスト | 高電流・絶縁耐圧 |
| HEV高圧系 | 200〜400V | Ni-MH/Liイオン | モータ・インバータ | 高絶縁・安全機能 |
| BEV高圧系 | 400〜800V | リチウムイオン電池 | バッテリー・急速充電 | 超高絶縁・耐アーク |
フォスターでの対応試験
各電圧系のコネクタに対して、フォスターでは高温放置試験(エンジンルーム・インバータ周辺の熱環境を想定)、振動試験(路面振動・エンジン振動への耐性確認)、耐湿性試験(外気・エンジンルームの湿度環境を想定)、挿抜耐久試験(コネクタの着脱繰り返し耐性の確認)を実施しています。
EV/HEV高電圧コネクタの絶縁抵抗測定や接触抵抗測定も、三重県のフォスター拠点にて受託しています。試験規格・評価基準のご相談も承ります。
関連する試験
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- EV用高電圧コネクタの設計要件
- 絶縁抵抗の定義・測定原理とコネクタでの合格基準
- コネクタの仕組みと基本構造
- 電線の太さ(AWG)と許容電流の関係|計算式と選定早見表
- MTBFとMTTFの違いとコネクタでの寿命計算方法
よくある質問
48V系は高電圧安全規制の対象になりますか?
48VDCは人体安全電圧(60VDC未満)のため、IEC 60479等の高電圧危険区分外です。ただし大電流による火災・感電リスクはあるため、適切な絶縁設計と保護は必要です。
BEVの急速充電コネクタはどのような試験が必要ですか?
急速充電コネクタ(CHAdeMO・CCS等)は高電圧・大電流・多数回挿抜に耐える必要があります。挿抜耐久試験・耐湿性試験・高温放置試験・絶縁抵抗測定が標準的な評価項目です。
HEV/BEVコネクタの挿抜耐久試験では何回の挿抜が要求されますか?
用途によって異なりますが、車載補機コネクタは一般に10〜100回程度、充電コネクタは3,000〜10,000回以上が要求されることがあります(IEC 62196等参照)。フォスターでは要求回数に応じた試験計画を提案します。
高電圧コネクタの振動試験ではどのような評価をしますか?
路面振動・エンジン振動のプロファイルに準拠したランダム振動または正弦波振動を加えた後、接触抵抗・絶縁抵抗の変化と外観(ロック解除・破損)を評価します。振動中の瞬断評価も実施可能です。
12V系と48V系のコネクタを混用できますか?
誤接続を防ぐため、形状・色・キーイング(コーディング)による識別が設計上求められます。物理的な誤嵌合防止が安全設計の基本です。規格面ではISO 6722やJASO D 616で区分されています。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。
