加速寿命試験(ALT)の原理と加速係数の求め方

概要

株式会社フォスターでは、コネクタ部品の高温放置試験・温湿度試験・振動試験など各種加速寿命試験を実施しており、加速係数の計算・試験計画立案・寿命推定をサポートしています。

加速寿命試験(ALT:Accelerated Life Test)は、製品の実使用寿命より短い時間で信頼性を評価するため、ストレス(温度・湿度・電圧・振動等)を通常の使用条件より高めて劣化を加速させる試験です。加速係数(AF)を正確に算出することで、限られた試験時間で目標寿命を統計的に確認できます。

ALTの設計ステップと加速係数の算出

ALT設計の基本ステップ:①主要な劣化メカニズムを特定→②加速ストレスの種類と上限を決定(材料の制約内)→③加速モデル(アレニウス・アイリング・電力則等)でAFを計算→④試験時間 = 目標寿命/AF で設定→⑤試験後の不具合を解析し寿命分布を推定(ワイブル解析等)。

加速モデル適用するストレス代表的な適用用途
アレニウス則温度コネクタ熱劣化・接点酸化
アイリングモデル温度+湿度コネクタ耐食・樹脂加水分解
逆電力則電圧絶縁体TDDB・コンデンサ劣化
逆電力則(振動)振動加速度はんだ疲労・振動疲労
CoffinManson則温度サイクル振幅ΔT温度サイクル疲労・はんだクラック

ワイブル解析と信頼性の統計的評価

ALTで得られた寿命データはワイブル分布(2パラメータ:形状パラメータβと尺度パラメータη)で解析されることが多いです。β < 1は初期故障型、β = 1は偶発故障型(指数分布)、β > 1は摩耗故障型を示します。B10寿命(10%の製品が故障するまでの時間)が設計目標の基準となります。


関連する試験

関連するページ

よくある質問

ワイブル分布のβ(形状パラメータ)はどう解釈するか?

β<1:初期故障(設計・製造欠陥)、β=1:ランダム故障(外部ストレス)、β>1:摩耗・劣化故障(経年劣化)を示します。車載コネクタの耐久試験では通常β=1〜3程度が観察されます。

試験サンプル数はいくつ必要か?

確認したい信頼度Rと信頼水準Cから必要サンプル数が決まります(n = ln(1-C)/ln(R):ゼロ故障の場合)。信頼度90%・信頼水準90%のゼロ故障確認には最低22サンプルが必要です。

HALTとHASTの違いは?

HALT(Highly Accelerated Life Test)はストレス限界探索を目的とした探索的試験で規格化されておらず、故障メカニズム発見が目的です。HAST(Highly Accelerated Stress Test)は温湿度加速を定量的に設計し定量的な信頼性確認を行う試験で、JEDEC規格等で定義されています。

ALTで新しい故障モードが出た場合はどうするか?

実使用で発生する故障モードとの同一性を確認することが最優先です。過加速による新規不具合モード(使用条件では発生しない故障)の場合は、試験条件の見直しが必要です。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。