FMEAとFTAの違いと使い分け|設計リスク評価の実践

概要

株式会社フォスターでは、コネクタ部品の信頼性設計支援として、FMEA・FTAの評価プロセスを考慮した試験計画の立案をサポートしています。

FMEAとFTAは設計リスク評価の代表的な手法ですが、アプローチが正反対です。FMEAは「ボトムアップ」方式(部品の故障モードから上位への影響を追う)、FTAは「トップダウン」方式(最悪のシステム障害から原因を掘り下げる)です。車載コネクタ設計では両手法を適切な段階で組み合わせることで、設計品質の体系的な向上が図れます。

FMEAとFTAの比較

FMEAは全ての部品の全ての故障モードを網羅的に列挙し影響を評価するため、部品数が増えると作業量が膨大になります。FTAは特定のトップ事象(最悪故障)に絞って原因を掘り下げるため、重要な故障モードの論理的な原因特定に優れます。

比較項目FMEAFTA
アプローチ方向ボトムアップ(帰納的)トップダウン(演繹的)
対象全故障モードを網羅特定の最上位故障のみ
適した時期設計初期〜量産試作特定の重大故障の深掘り
出力形式FMEA表(RPN数値・対策)故障の木(論理ゲート図)
RPNリスク優先数(重大度×発生率×検出性)使用しない
標準規格IEC 60812・AIAG FMEAIEC 61025・ARP4761

車載コネクタへのFMEA適用例

コネクタのFMEAでは端子接触不良・ハウジング破損・防水シール劣化などの故障モードを列挙し、「重大度(S)×発生頻度(O)×検出容易度(D)=RPN(Risk Priority Number)」でリスク優先順位を付けます。RPNが高い項目に対して設計変更・工程管理強化・検査方法の追加を実施します。


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よくある質問

FMEA表のRPNはどこから1000が最悪か?

S(1〜10)×O(1〜10)×D(1〜10)の最大値は1000です。RPNが200〜300以上の項目を優先対策の目安とする場合が多いですが、重大度S=10(安全・法規影響)のアイテムはRPN値に関わらず必ず対策が必要です。

FTAの「ANDゲート」と「ORゲート」の違いは?

ANDゲートは下位事象が全部発生したときに上位事象が発生(システム冗長性の表現)、ORゲートはいずれか一つでも発生したら上位事象が発生することを表します。

FMEAとFTAはどう使い分けるか?

設計初期の全体的なリスクスクリーニングにはFMEA、特定の重大な故障モードの原因究明・設計改善にはFTAが適しています。開発プロセスでは両方を順次適用することが推奨されます。

D-FMEAとP-FMEAの違いは?

D-FMEA(Design FMEA)は設計に起因するリスクを評価、P-FMEA(Process FMEA)は製造工程に起因するリスクを評価します。車載ではAIAGとVDAが協力して作成したFMEA ハンドブック(2019年版)が業界標準として広く採用されています。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。