イオンクロマトグラフィで基板残留イオンを定量する洗浄度評価

概要

株式会社フォスターでは、コネクタ・基板の実装後洗浄度評価に対応しており、フラックス残留物・イオン性不純物の定量分析をサポートしています。

イオンクロマトグラフィ(IC)は、基板実装後の残留イオン性不純物(塩化物・臭化物・硫酸塩・有機酸フラックス残留物等)を種類別に定量分析できる分析手法です。残留イオン性不純物は吸湿時に電解質として機能し、絶縁抵抗低下・金属腐食・デンドライト成長による短絡を引き起こします。車載・産業用電子機器では洗浄度規格(IPC-TM-650)への適合が重要です。

イオンクロマトグラフィの原理と分析手順

イオンクロマトグラフィはイオン交換カラムで各イオン種を分離し、電気伝導度検出器で定量します。基板からイオン成分を抽出するには溶出法(基板を純水/IPA混合溶媒で超音波抽出または煮沸抽出)を使います。

検出対象イオン主な発生源問題となる影響許容値例(IPC-TM-650)
塩化物(Cl⁻)フラックス・めっき薬品銅の腐食・絶縁劣化< 0.3 μg/cm²
臭化物(Br⁻)難燃剤・フラックス銅の腐食< 0.1 μg/cm²
硫酸塩(SO₄²⁻)フラックス・めっき浴腐食促進< 0.3 μg/cm²
コハク酸・グルタル酸有機酸フラックスSIR低下・腐食フラックス依存
ナトリウム(Na⁺)手脂・洗浄不良絶縁劣化< 0.1 μg/cm²

ROSE試験とICの使い分け

ROSE試験(Resistivity of Solvent Extract)はイオン性残留物の総量を電気伝導度で評価する簡易手法ですが、イオン種別の情報が得られません。ICはイオン種を個別に同定・定量できるため、腐食リスクの高いCl⁻・Br⁻等の特定や洗浄工程の効果確認に優れます。スクリーニングにROSE・詳細解析にICという使い分けが一般的です。


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よくある質問

基板洗浄は必ず必要か?

NO-CLEANフラックス使用の場合は洗浄不要ですが、車載・産業用ではイオン性残留物管理の観点から洗浄+ICによる確認を実施することが多いです。高信頼性要求品では洗浄が標準です。

デンドライト成長とはどんな不具合か?

残留イオンが湿度環境でバイアス電圧のある電極間を移動し、金属(主にSn・Ag)が電析して樹枝状(デンドライト)の金属経路が形成される現象です。最終的に隣接電極間の短絡を引き起こします。

ICで検出できないフラックス残留物はあるか?

非イオン性の有機残留物(ロジン・溶媒残留等)はICでは検出できません。これらにはFT-IR・GC-MS・HPLC等の手法が必要です。

洗浄度の合否判定基準はどこから来るか?

IPC-TM-650の各試験法が基準を定めています。また各電子機器メーカーの独自規格(社内洗浄度規格)が適用されます。車載向けでは各OEMの供給者要件が最終基準になります。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。