公開日: 2026年5月28日 / 最終更新日: 2026年5月28日
概要
車載コネクタの温度上昇試験とは、コネクタに規定の電流を流した際に生じる、端子接触部や導体部の「発熱(温度上昇値)」を測定する試験です
規格
- JASO D 616 6.31 「6.13 温度上昇試験」
- 日本の自動車メーカーの個別規格のベースとなっています。室温(無風状態)で規定の電流を流し、温度変化が15分間で1℃未満に落ち着く「温度飽和」まで測定を行います
- USCAR-2 「5.3.3 T-Rise (Temperature Rise)」
- LV 214 「PG 11 (Derating and temperature rise)」
- ISO 8092 / IEC 60512
- ISO 8092-2:道路運送車両用の電気接続接続部品(コネクタ)に関する試験方法がまとめられています。
IEC 60512-5-1:車載専用ではないものの、電子機器用コネクタ全般の温度上昇試験(試験5a)およびディレーティング試験(試験5b)の基本手順として、車載試験でもよく引用されます。
- ISO 8092-2:道路運送車両用の電気接続接続部品(コネクタ)に関する試験方法がまとめられています。
- 各 自動車 カーメーカー規格 など
詳細
コネクタ接点や、導体部など、測温したい場所にセンサー(主に熱電対)を取り付けて、規定の電流値を流し、
通電による発熱量を計測します。基本的には常温にて実施します

コネクタの場合、本来、接点を直接測温したいですが、物理的に不可能な為、基本的に端子圧着部の背面に熱電対を取付け測温させていただく場合が多いです
- 無風室・・・常温無風室をご準備しております
- 電源器・・・1mA ~1200A など(電流値を大きくしたい場合、レンタル設備も御座いますので、ご相談ください)
- ロガー・・・データ記録計 など
【手順の全体像】
①初期温度確認 ➔ ②通電開始 ➔ ③データロガー監視 ➔ ④温度飽和の判定 ➔ ⑤通電停止・冷却確認
目的
車両の火災・発煙リスクの排除(安全性の検証)
自動車の走行中、コネクタには常に電流が流れます。もし端子の設計不良や圧着不備、経年劣化によって「抵抗」が大きくなっていると、自己発熱によって異常発熱、火災を起こす可能性があります。
- 樹脂(ハウジング)の溶融・変形を防ぐ
- 配線のショート(短絡)による発煙・発火を防ぐ
これら車両火災に直結する危険を排除するために試験を行います。
2. 「許容電流(ディレーティングカーブ)」の策定
コネクタが「どのくらいの温度環境で、何アンペアまで安全に流せるか」という製品の限界値(スペック)を決定するために実施します。
注意事項
火災・発煙への警戒:接触抵抗が異常に高いサンプルがあると、通電直後に一気に100℃を超えて樹脂が溶けることがあります。いつでも電源を遮断できるよう、通電初期は特に監視を強化します
熱電対の浮き(測定エラー):もし特定の端子だけ全く温度が上がらない場合、熱電対の先端が端子から浮いて、中の「空気の温度」を測ってしまっている可能性があります。
局所的な「熱の籠もり(多極接続)」の評価:コネクタは1極(1本のピン)だけで使うとは限りません。10極、20極と多くの端子が密集している場合、全極に一斉に通電すると内部に熱が籠もり、中央部の端子が特に高温になります
前後評価
温度上昇試験は評価項目として実施されますので、各耐久試験で評価項目としてシーケンスの中で実施される事が多いです
ほか、発熱量の確認、ディレーティングカーブの取得の際は単独で実施など
- 基本的に各耐久試験で評価項目、シーケンスの中に組み込まれる
- 接触抵抗(電圧降下)
- 絶縁抵抗 ・・・など
ご依頼から試験実施までの流れ
- お問い合わせ・ヒアリング
対象製品の仕様(極数、サイズ、ピッチなど)や、ご希望の試験規格(JASO D 616など)をお伺いします。 - 試験計画のご提案・お見積り
必要な治具(ジグ)の手配や、スケジュールを含めた最適な試験プランをご提示します。 - 試験実施
15年以上の実績を持つ専門スタッフが、正確な条件で試験を執り行います。 - データ集計・レポート納品
測定データ、グラフ、外観写真などをまとめた試験報告書を速やかに納品いたします。ご希望のフォーマットがあれば、お送りください。そちらに合わせ作成いたします
リードタイム
最速1日、通常2~3日を要します
測温方法の検討から、熱電対の取り付け、サンプル作成、回路形成、常温なじませ、その後、試験開始となります。
通電時間が多くの場合1~3時間程度必要となります。その後、温度の下降を待って取り外し、ご返却となります。
Q&A
Q1. なぜ「温度上昇値(ΔT)」で評価するのですか?実測温度ではダメなのですか?
A1. 試験を行う日の室温(周囲温度)によって、実測温度は変わってしまうからです。周囲温度からの「純粋な上昇分」を算出することで、室温に左右されないコネクタ本来の発熱性能を一律に評価できます
Q2. 「接触抵抗」と温度上昇にはどのような関係がありますか?
A2. 接触抵抗が大きくなると、発熱量は電流の2乗に比例して激しく増加します(P=I^2R)。
そのため、温度上昇試験の前後には接触抵抗を測定し、異常な抵抗上昇がないかセットで評価することが多いです。
Q3. 試験に使う「電線の太さ」はどのように決めればよいですか?
A3. ターゲットとする適用規格(JASOやUSCARなど)で指定されている太さや、実際製品として使用される電線と同じものを使用してください。
電線は「熱を逃がすヒートシンク」の役割も果たすため、指定より太い電線を使うと温度が上がりにくくなり、細い電線を使うと温度が上がりやすくなりデータの信頼性が下がります。
料金体系
- 基本料金 :25,000円~(税抜き)
- 複数の機器、設備を利用しますので、お早めにお問い合わせください
温度上昇試験に関するご相談・お見積りはこちら
「急ぎで不具合の再現試験を行いたい」「センサー取付けの加工から丸投げしたい」など、柔軟に対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
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よくある質問(FAQ)
Q. この試験の費用はいくらですか?
費用はサンプルの種類・数量・試験条件によって異なります。詳細はお問い合わせフォームまたはお電話にてお気軽にご相談ください。
Q. 試験の所要時間はどのくらいですか?
試験内容やサンプルの状態によって異なります。お見積り時に目安の納期をご案内いたします。
Q. どのような規格に対応していますか?
JIS規格をはじめ、IEC・MIL等の各種規格に対応しています。ご依頼時に対応規格をお知らせください。
Q. 試験結果はどのような形式で受け取れますか?
試験成績書(レポート)として発行いたします。必要に応じてPDFまたは紙での納品が可能です。
Q. 依頼方法を教えてください。
当サイトのお問い合わせフォームまたはお電話(平日9:00〜17:00)にてご相談ください。サンプル送付先や詳細な試験条件についてご案内いたします。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは、20年以上にわたりコネクタ評価・環境試験・信頼性評価に携わり、自動車・電子部品分野を中心とした受託試験を行っています。本ページは、20年以上にわたる受託試験の実績と技術的知見をもとに作成しています。
