樹脂の Tg と Tm の違いと熱設計での使い分け

概要

株式会社フォスターでは、コネクタ樹脂部品の高温放置試験・温湿度サイクル試験を実施し、熱変形・寸法変化・電気特性の変化を評価しています。

プラスチック材料を熱設計に適用する際、ガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)は用途によって全く異なる意味を持ちます。Tgは非晶性樹脂の軟化指標、Tmは結晶性樹脂の明確な融解点です。この違いを正確に理解しないと、使用温度の上限を誤って設定し設計不具合の原因となります。

TgとTmの定義と測定方法

Tg(ガラス転移温度):非晶性領域が「ガラス状態」から「ゴム状態」に転移する温度。この温度以上で剛性が急激に低下します。DMA(動的粘弾性測定)やDSC(示差走査熱量計)で測定します。

Tm(融点・融解温度):結晶性樹脂において結晶が溶融する温度。DSCで吸熱ピークとして検出されます。

樹脂の種類代表材料Tg目安Tm目安連続使用温度目安
非晶性ABS約100℃なし70〜80℃
非晶性PC約150℃なし110〜120℃
結晶性PA66約50〜60℃約260℃100〜120℃
結晶性PBT約50〜60℃約225℃100〜120℃
結晶性PPS約90℃約280℃200〜220℃

熱設計で注意すべき使い分けのポイント

非晶性樹脂の連続使用温度はTgより20〜30℃低く設定するのが一般的です。一方、結晶性樹脂のTgは低くてもTmまで結晶部が骨格として機能するため、Tgを超えた温度でも使用できます。PA66がTg約60℃でも120℃まで使用可能なのはこの理由です。


関連する試験

関連するページ

よくある質問

TgとHDT(熱変形温度)はどう違うか?

HDTは特定荷重下で一定変形に達する温度であり、非晶性樹脂ではTgに近い値、結晶性樹脂ではTmより低い値になります。実用的な耐熱指標としてHDTが使われます。

GF充填でTgは変わるか?

Tg自体はほとんど変わりませんが、GF充填によりTg付近での剛性低下が緩やかになるため、Tg以上の温度でも一定の剛性を維持できます。

DSCでTgが検出しにくい場合は?

DMA(動的粘弾性測定)の損失正接(tanδ)ピークや貯蔵弾性率(E’)の変曲点でTgを検出します。DSCより高感度にTgを捉えられます。

TmとTg両方ある材料は半結晶性か?

正確にはすべての樹脂がTgを持ちますが、結晶性樹脂ではDSCでTmが明確に観察され、TgはTm付近に埋もれる場合があります。半結晶性樹脂は両方を持ちます。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。