樹脂のクリープ変形とランス保持力低下の長期信頼性評価

概要

株式会社フォスターでは、端子保持力の経時変化を評価する高温放置試験・挿抜耐久試験を実施しており、クリープ変形に起因した保持力低下の定量評価に対応しています。

コネクタのランス(端子係止爪)は挿入時に一時的に撓み、復元した後に端子を係止します。しかし樹脂の粘弾性特性により、長期高温環境ではランスの変形が固定化(クリープ)し、係止力が低下して端子が抜けやすくなります。この現象は車載コネクタで特に重要な長期信頼性課題です。

ランスクリープの発生メカニズム

端子挿入時にランスは弾性変形して端子係止位置まで撓み、端子が所定位置に達すると復元します。しかし、キャビティの寸法公差や端子の誤った位置での係止が原因でランスが撓んだまま荷重を受け続けると、高温環境下でのクリープにより変形が固定化されます。

クリープが進行するとランスの係止段差が減少し、端子保持力が低下します。最終的には端子が外部からの引き抜き力や振動によって脱落します。

要因内容対策
材料のクリープ感受性Tg近傍・高温でのクリープ促進PPS・PEEK等の高Tg材料に変更
ランス形状薄肉・長尺形状はクリープ大短く太いランス設計
係止荷重常時荷重が大きい設計係止形状の最適化
使用温度高温ほどクリープ加速熱設計による温度低減

保持力評価の試験方法

JIS D 5420やLV214では高温放置(例:120℃×240h〜1000h)後の端子保持力測定を要求します。保持力の低下率が規格値以内であることを確認することで、長期信頼性を担保します。


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よくある質問

ランスクリープと応力緩和の違いは?

ランスクリープは荷重一定のもとで変形が増加する現象、応力緩和は変形量一定のもとで保持力(応力)が低下する現象です。端子係止部では両方が関与します。

二次ロック(CPA)はクリープ対策になるか?

なります。CPAは端子の二次係止機能を提供し、ランスがクリープで変形しても端子脱落を防ぐ最終安全策です。重要回路では標準的に採用されます。

試験での保持力測定の適切な速度は?

JIS D 5420では50mm/minが標準的です。引張速度が速すぎると動的効果で過大な値が出るため、試験条件の統一が重要です。

クリープ変形した樹脂は回復するか?

弾性変形分は回復しますが、温度低下後に固定化された塑性変形成分は回復しません。高温放置後の常温保持力が実使用上の値となります。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。