クリープ現象と高温変形|材料選定と長期寿命評価

概要

株式会社フォスターでは、樹脂コネクタのランス保持力・端子抜け力の経時変化を評価する高温放置試験を実施しており、クリープ変形に起因した不具合の解析サービスも提供しています。

クリープとは、一定の応力下で時間とともに変形が進行する現象です。コネクタ樹脂ハウジングでは、端子保持ランスや嵌合ロック部がクリープにより変形し、端子抜けや嵌合外れの原因となります。高温環境ほどクリープ速度が加速するため、エンジンルーム搭載部品では特に重要な設計課題です。

クリープのメカニズムと温度依存性

クリープは3段階(一次:減速クリープ、二次:定常クリープ、三次:加速クリープ〜破断)に分けられます。材料のガラス転移温度(Tg)に近づくほどクリープ速度は急増します。

樹脂材料は金属に比べてクリープが発生しやすく、PA66では約80℃以上、PBTでは約100℃以上で顕著なクリープが観察されます。

材料クリープ顕在化温度目安Tg目安対策
PA66(乾燥)80℃以上約50〜60℃GFで抑制
PBT100℃以上約50〜60℃GFで抑制
PPS150℃以上約90℃結晶性で耐性高
PEEK200℃以上約143℃最高耐クリープ性

コネクタランスのクリープ変形と端子抜け

コネクタのランス(端子保持爪)は挿入時に撓み、復元力で端子を固定します。しかし高温環境での長期使用では、ランスが撓んだまま変形(塑性変形)し端子保持力が低下します。

JIS D 5420やLV214などの規格では高温放置後の端子保持力低下率に規格値が設けられており、量産前の材料・設計評価で確認が必須です。

評価条件評価内容合否基準例
高温放置(120℃ × 1000h)端子保持力の変化率測定初期値の80%以上維持
クリープ試験(荷重保持)変位量の経時測定規定変位量以下
挿抜耐久後保持力耐久後の保持力確認規格値以上

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よくある質問

クリープと応力緩和はどう違うか?

クリープは一定応力下での変形増大、応力緩和は一定変形量のもとで応力が減少する現象です。コネクタでは両方が同時に発生します。

ガラス繊維充填でクリープはどの程度改善されるか?

GF30%充填では無充填品比で高温クリープ変形量が1/3〜1/5程度に低減されます。ただし繊維配向の影響があるため成形方向も考慮が必要です。

クリープ設計で使う材料データは?

クリープ等時応力-ひずみ曲線(アイソクロナス曲線)を使い、使用温度・使用時間・許容変形量から設計応力を設定します。

クリープ不具合の外観的特徴は何か?

ランスの先端が変形・倒れた状態になること、端子がハウジング後方へ若干後退すること、保持力試験で抜け荷重が低下することが典型的な外観・試験特徴です。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。