防水コネクタのIP等級(IP67/IP68)とシール構造を完全解説

概要

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車用コネクタの防水性試験を含む各種受託試験を実施しています。本記事では、防水コネクタに表示されるIP等級(IPコード)の意味とシール構造について、試験現場の視点からわかりやすく解説します。

自動車では、エンジンルーム・床下・ドア内部など、水分・泥・洗車水にさらされる環境にコネクタが設置されます。防水コネクタのIP等級を正しく理解することで、設計・調達・品質評価のすべての場面でトラブルを未然に防げます。

IP等級とは何か

IP等級(Ingress Protection Rating)はIEC 60529規格で定義された、機器の防塵・防水性能を表す国際規格です。「IP」に続く2桁の数字のうち、第1数字は防塵性(固体異物に対する保護)、第2数字は防水性(液体の侵入に対する保護)を表します。

IP等級第1数字(防塵)第2数字(防水)主な自動車用途
IP54粉塵の侵入を防ぐあらゆる方向からの飛沫ドア内・インパネ周辺
IP67完全防塵水深1m・30分浸漬床下・サスペンション周辺
IP68完全防塵水深1m超・継続浸漬(条件は製造者指定)完全浸水環境
IP6K9K完全防塵高圧高温水(洗車・蒸気洗浄対応)エンジンルーム・EV充電口

防水コネクタのシール構造

防水コネクタが水の侵入を防ぐために、複数のシール箇所が設けられています。

  • 個別シール(ゴム栓):各端子穴に挿入するシリコンゴム製のシール部品。端子と電線の隙間を塞ぐ。
  • マットシール:ハウジング内部に設置するシリコンゴム製シートで、複数端子を一括してシールする。
  • フェイスシール(Oリング・ガスケット):オス・メスのハウジング嵌合面に設置し、嵌合部全体を密封する。
  • ワイヤシール(後端シール):電線引き出し部のシール。ハーネス後端部の防水に使用。

IP67とIP68の違い

IP67は「水深1mの水中に最長30分間浸漬しても水が侵入しない」性能を示します。IP68はより過酷な条件で「水深1m超かつ長時間浸漬に耐える」ことを示しますが、具体的な水深と時間は製造者と使用者の合意で決まります。自動車用では「水深3m・60分浸漬」などの追加条件がOEMから指定されることがあります。

防水試験の実施方法

フォスターでは、防水性・耐水性・IP試験として次の方法を採用しています。水槽浸漬法(指定水深・時間での完全浸漬)、散水試験(IPX3・IPX4相当のシャワー噴射)、高圧洗浄試験(IPX9K相当の高温高圧水噴射)。試験後にはシール材の変形・亀裂の確認と、電気的連続性・絶縁抵抗測定を実施します。

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よくある質問

IP67とIP68では何が違いますか?

IP67は水深1mに30分間の浸漬に耐えることを規定しています。IP68はより過酷な条件(水深1m超・より長時間)に耐えることを示し、具体的な条件は製造者と使用者の合意で決まります。自動車用ではOEMが独自の追加条件を指定することがあります。

シール材はどのくらいの期間で劣化しますか?

シリコンゴム製シール材の耐用年数は使用環境によって異なりますが、一般的な自動車用コネクタでは高温放置・熱衝撃試験(125℃×1000h等)後のシール性維持が求められます。シール材の硬度変化・亀裂・永久圧縮ひずみが劣化の指標です。

防水コネクタは非防水コネクタより挿抜力が大きいですか?

はい。防水コネクタはシール材の摩擦抵抗が加わるため、同極数の非防水コネクタより挿抜力が大きくなる傾向があります。設計段階でシール材の表面潤滑処理(シリコンオイル塗布など)や適切な嵌合ガイドを設けることが重要です。

IPコードにXが使われる場合はどういう意味ですか?

IPコードのXは「試験を実施していない・規定しない」を意味します。例えばIPX7は防塵性の試験は行わず、防水性(水深1m・30分浸漬)のみを評価・規定していることを示します。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。