防水ハーネスのグロメットとシリコンジェルの防水構造

概要

自動車の防水ハーネスは、電線貫通部・コネクタ接続部・パネル貫通部に専用のシール部材を設けることで防水性を確保しています。株式会社フォスターでは、防水コネクタ・防水ハーネスの防水性試験(IP試験)・シール性試験・耐湿性試験・温湿度サイクル試験を受託しており、防水性能の客観的評価をサポートしています。

防水ハーネスで使用される主なシール部材は、個々の電線に装着するシングルワイヤシール(ゴム栓)、コネクタ全体を密封するマットシール(マルチポートシール)、パネル貫通部に使用するグロメット、そしてコネクタ内部を充填するシリコンジェルの4種類です。

シングルワイヤシール(ゴム栓)の構造と機能

シングルワイヤシール(Single Wire Seal、SWS)は、コネクタハウジングの端子挿入孔に装着されるゴム製シール部品です。電線の絶縁被覆外径に密着する内径と、コネクタハウジングの孔内径に密着する外径を持つリップ構造で設計されており、電線貫通部からの水・ほこりの侵入を防ぎます。材料はEPDM(エチレンプロピレンゴム)またはシリコーンゴムが一般的です。

SWSは電線ごとに1個ずつ装着するため、電線径の変更があった場合は適合するSWSを選び直す必要があります。コネクタ端子の挿入前にSWSを電線に通してから端子を圧着し、その後コネクタハウジングに挿入する工程順序となります。工程管理が複雑になるため、自動機を用いたSWS挿入工程の精度管理が防水品質を左右します。

マットシールとシリコンジェルによる防水

マットシール(Mat Seal、Cavity Seal)はコネクタハウジングの後端に取り付けるシート状シール部材であり、全端子挿入孔を一枚のシートで覆う構造です。各孔に予め穴が開いており(または押し込みで穴が開く)、複数の電線を一括でシールできます。量産工程での作業性に優れるため、多極コネクタに多く採用されます。

シリコンジェル(Silicone Gel)封入方式は、コネクタハウジング内部にシリコンジェルを充填(ポッティング)する方法です。ジェルが電線・端子周囲に隙間なく密着することで、高い防水性(IP68相当)が得られます。ハーネスジャンクション部(ハーネス分岐・接続部)への適用が多く、電線の本数・取り出し方向が複雑な箇所でも確実に防水できます。

防水部材適用箇所特徴主なIP等級対応
シングルワイヤシール端子挿入孔(電線1本ごと)個別対応・汎用性高IP67/IP68
マットシールコネクタ後端(複数電線一括)多極対応・作業性良好IP67
グロメットパネル貫通部・ハーネス束束線対応・振動吸収ありIPX4〜IP67
シリコンジェルジャンクション部充填複雑形状対応・高防水IP68

防水ハーネスの防水性評価と関連試験

防水ハーネスの防水性評価はIEC 60529(JIS C 0920)に基づくIP試験が標準的であり、IP67(水深1mに30分浸漬)やIP68(水深1m以上に長時間浸漬)が自動車用途でよく要求されます。IP試験の前後に接触抵抗測定や絶縁抵抗測定を行い、防水性能の合否と電気的影響を総合評価します。

耐湿性試験(高湿度環境長期曝露)および温湿度サイクル試験(温湿度変動の繰り返し)では、シール部材の膨潤・収縮・永久変形による防水機能の低下を評価します。フォスターではIP試験・耐湿性試験・温湿度サイクル試験を組み合わせた防水ハーネスの総合信頼性評価を提供しています。


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よくある質問

防水ハーネスにはグロメットとSWSのどちらが必要ですか?

用途によって異なります。コネクタ個々の端子挿入孔をシールする場合はSWSまたはマットシール、電線束がパネルを貫通する箇所にはグロメット、ジャンクション部の防水にはシリコンジェルが使われます。多くの防水ハーネスではこれらを組み合わせてシステム全体の防水性を確保しています。

シリコンジェルは電線の絶縁性に影響しませんか?

一般的な防水用シリコンジェルは電気的に不活性(絶縁材料)であり、適切に選定・施工された場合は電線の絶縁性に悪影響を与えません。ただし、シリコンジェルが端子の接触面に付着すると接触抵抗が上昇するため、施工時の管理が重要です。

IP67とIP68の違いは何ですか?

IP67は「水深1mに30分間浸漬しても有害な影響がない」、IP68は「規定された条件(水深・時間がIP67より過酷)で長時間浸漬しても有害な影響がない」ことを示します。IP68の具体的な条件はメーカーと顧客間の取り決めによって異なります。

フォスターでシール部材の防水試験を依頼する場合、試料はどのように準備しますか?

防水コネクタまたは防水ハーネスアッセンブリの状態でご提出ください。防水試験後の電気特性確認(接触抵抗・絶縁抵抗)も一括してご依頼いただけます。試験条件(IP等級・水深・浸漬時間)はご相談の上で設定します。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。