シールド線(遮蔽線)とは?編組構造とノイズ防止のしくみ

概要

シールド線(遮蔽線)とは電磁ノイズの放射・侵入を抑制するために、電線の外周に導電性のシールド層を設けた電線です。フォスターでは振動試験・ケーブル引張強度試験によって、シールド線の機械的耐久性と信頼性を評価しています。

車載電装の高速・高周波化に伴いシールド線の需要が増加しており、編組シールド・横巻シールド・アルミラミネートシールドそれぞれの特性を理解した選定が重要です。

シールド線の種類と構造

編組シールドは銅細線を網状に編んでシールド層を形成したもので、柔軟性・シールド効果・機械強度のバランスが良く最も広く使われています。横巻(スパイラル)シールドは金属テープや細線を螺旋状に巻いた構造で、製造が容易で細径化に有利ですが、屈曲性は編組に劣ります。

アルミラミネートシールドはアルミ箔とPETフィルムを貼り合わせたテープをLON状に巻いた構造で、高周波シールド効果に優れ、軽量・低コストです。ただし柔軟性が低く折り曲げによりシールド連続性が損なわれやすい欠点があります。

種類シールド効果柔軟性重量主な用途
編組シールド中〜高ハーネス全般・高屈曲部
横巻シールド細径・ストレート配線
アルミラミネート高(高周波)FPC・LAN・通信線
編組+アルミ(ダブル)非常に高EMC過酷環境

電磁ノイズ遮蔽の原理

シールド線のノイズ遮蔽は①電磁波の反射(金属表面での反射損失)と②吸収(金属内での渦電流による損失)の2つのメカニズムで機能します。低周波では反射損失が主体で高い導電率の材料(銅・アルミ)が有効、高周波では吸収損失が主体となります。

シールドの遮蔽効果は「編組密度(被覆率)」にも依存します。編組カバレッジ85%以上で良好な遮蔽効果が得られますが、90%以上に高めると効果は大きく向上します。被覆率100%の横巻シールドやアルミラミネートは理論的に均一なシールドを実現しますが、屈曲や引張による変形でシールド連続性が低下します。

シールド線の車載ハーネスへの適用と試験

車載ハーネスでは屈曲・振動・高温・水分などの複合環境にシールド線が曝されます。振動試験ではシールド線の編組部分がコネクタとの接続点で断線・緩みを生じないか確認します。ケーブル引張強度試験では端子圧着部のシールド処理(ドレイン線の引き出し・編組のかしめ)の強度を評価します。

フォスターでは電線・ハーネスの引張強度試験と振動試験を組み合わせて、シールド線の実使用環境に即した耐久性評価を実施しています。シールド処理方法(ドレイン線・編組かしめ・溶接)が信頼性に大きく影響するため、試験で処理方法の妥当性を確認することが重要です。

  • 編組カバレッジ85%以上でシールド効果を確保(高EMC要求時は90%以上)
  • 振動試験でシールド・コネクタ接続部の機械的耐久性を確認
  • ケーブル引張強度試験でシールド処理部の引張強度を評価
  • 車載イーサネット・LVDS用途にはアルミラミネート+ドレイン線が有効

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よくある質問

シールド線のドレイン線とは何ですか?

ドレイン線はシールド層と並行して内部に入れられた裸銅線で、シールド層のグランド接続を容易にするための配線です。アルミラミネートシールドでは接触抵抗が高いため、ドレイン線を通じてシールドとコネクタシェルを確実に接続することが一般的です。

編組シールドの「カバレッジ(被覆率)」はどう計算しますか?

編組カバレッジはシールド線全周面積に対する編組が覆う面積の比率(%)です。編組角度・素線径・打込み数によって決まり、一般的に C = 1 – (1-2dn/D)² × sin²(θ) の形式で計算されます。通常の計算はメーカー仕様として提供されます。

アルミラミネートシールドが屈曲に弱い理由は?

アルミ箔は金属のため繰り返し屈曲するとフォールドラインで破断し、その部分のシールド連続性が失われます。車両の振動が伝わる動的配索部位にアルミラミネートシールド線を使う場合は、シールド破断を想定した評価が必要です。

シールド線は必ずグランドに接続しないといけませんか?

シールド効果を発揮するにはシールドを適切にグランドに接続する必要があります。片端接地はノイズの放射防止に、両端接地はノイズの侵入防止により効果的です。ただし両端接地ではグランドループが生じる場合があり、低周波ではかえってノイズが増える場合もあるため、接地方法の設計が重要です。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。