編組シールドとツイストペアの違いとノイズ低減効果

概要

編組シールドとツイストペアはどちらも電磁ノイズ対策に使われますが、遮蔽・相殺という異なる原理で機能します。フォスターでは振動試験・ケーブル引張強度試験・耐湿性試験によって、これらの電線・ハーネスの機械的・環境的信頼性を評価しています。

車載ハーネスの設計では、ノイズの種類(コモンモード・ディファレンシャルモード)・周波数帯・コスト・重量制約に応じて適切な組み合わせを選択することが求められます。

遮蔽と相殺:2つのノイズ低減原理

編組シールドは外部からの電磁波を導電性シールド層で反射・吸収して遮蔽する「バリア型」のノイズ対策です。シールドを適切にグランドに接地することで電場と磁場の両方に効果を発揮します。主にコモンモードノイズ(全導体に同位相で乗るノイズ)の抑制に有効です。

ツイストペアは2本の電線を撚り合わせることで外部ノイズを等しく誘起させ、差動受信回路でそれを相殺する「キャンセル型」のノイズ対策です。コモンモードノイズだけでなく、差動信号路自体からのノイズ放射(EMI低減)にも効果があります。

対応ノイズ種別と周波数特性の比較

編組シールドは低周波〜中周波(〜数百MHz)でのコモンモードノイズ遮蔽に優れます。高周波(>1GHz)では編組の隙間や接地インピーダンスが問題になり効果が低下します。アルミラミネートシールドとの組み合わせで高周波まで対応できます。

ツイストペアは撚りピッチに依存した周波数特性を持ち、適切なピッチ管理でMHz〜GHz帯までのコモンモードキャンセルが可能です。ただし不平衡(ノーマルモード)ノイズには原理的に効果が薄く、フィルタや接地で対応します。

項目編組シールドツイストペアSTP(組み合わせ)
原理バリア遮蔽コモンモード相殺両方
コモンモード対策最優
ノーマルモード対策不可
高周波(>1GHz)高(ピッチ依存)
重量重い軽い重い
コスト最高

車載ハーネスでの使い分けと試験評価

車載ハーネスの設計では、CAN・LIN・低速通信ラインにはUTPツイストペアが採用されコスト重視の設計が可能です。車載イーサネット・ADAS・カメラ映像ラインなど高速・高ノイズ環境にはSTP(シールドツイストペア)または編組シールドとの組み合わせが有効です。

フォスターでは振動試験でコネクタ・圧着部の長期信頼性を確認し、ケーブル引張強度試験でシールド処理部の引き抜き強度を評価します。耐湿性試験では湿潤環境でのシールド腐食・絶縁低下を確認し、実使用環境への適合性を総合的に評価します。

  • CAN/LIN/低速通信:UTPツイストペア(コスト重視)
  • 車載イーサネット100BASE-T1:UTPまたは軽量STP(OPEN Alliance規格)
  • AV・カメラ信号:編組シールド付きケーブル(FAKRA等専用コネクタ)
  • 高ノイズ環境(モータ近傍):STPまたは二重シールド(ダブルシールド)

関連する試験

関連するページ

よくある質問

コモンモードノイズとノーマルモードノイズの違いは?

コモンモードノイズは2本の信号線に同位相で誘起されるノイズで、外部からの電磁誘導や伝導ノイズが主な原因です。ノーマルモード(差動モード)ノイズは2本の信号線間に位相差で乗るノイズで、電源リップルや信号経路内のインピーダンス不均衡が原因になります。対策手段が異なるため区別が重要です。

STPケーブルはUTPより必ず優れますか?

シールドの追加でコモンモード遮蔽が強化されますが、重量・コスト増加と接地設計の複雑化がデメリットです。接地が不適切だとかえってノイズが増加するリスクもあります。必要なEMC性能をUTPで達成できる場合はUTPが合理的な選択です。

ハーネス設計でツイストペアと電源線を分ける必要はありますか?

電源線(特にモータ駆動のPWM波形)は高いノイズ放射源であり、ツイストペア信号線と同一バンドルにすると相互誘導でノイズが乗ります。物理的に分離するか、シールドラインを介在させることが推奨されます。

車載環境でシールド線が劣化する主な原因は何ですか?

主な劣化原因は①振動による編組線の断線・ほつれ、②高温・湿度による銅の酸化・腐食(編組抵抗増加)、③ルーティング固定不良による繰り返し曲げ疲労、④コネクタ接続部でのシールド処理不良による接触抵抗増加です。フォスターの振動・耐湿試験でこれらの劣化を評価できます。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。