ツイストペア(撚り対線)とは?LANで電線を撚る理由と効果

概要

ツイストペア(撚り対線)とは2本の電線を螺旋状に撚り合わせた電線対で、差動信号伝送でのノイズキャンセル効果により高速・長距離通信を可能にします。フォスターでは振動試験・ケーブル引張強度試験により、ツイストペアを含むハーネスの機械的信頼性を評価しています。

CAN・LIN・車載イーサネットなどの車載通信バスには、主にツイストペア線が使われています。撚りピッチと信号伝送特性の関係を理解することで、EMC設計の最適化が可能になります。

ツイストペアのノイズキャンセル原理

ツイストペアは2本の電線を一定間隔で撚り合わせることで、外部ノイズに対して「差動キャンセル効果」を発揮します。外部からの電磁ノイズは2本の電線に同じ方向(コモンモード)で誘起されますが、差動信号受信側ではコモンモード成分を除去するため、ノイズが相殺されます。

撚りにより2本の電線が空間的に対称に配置されるため、各電線に誘起されるノイズ電圧がほぼ等しくなります。この等しさが崩れるほどノイズキャンセル効果が低下するため、撚りの均一性が重要です。

撚りピッチと電気特性の関係

撚りピッチとは1回転分の長さ(mm)で、ピッチが短いほどノイズキャンセル効果が高く、高周波まで有効です。一方、撚りピッチが短いほど電線が長くなり重量・材料コストが増加します。また特性インピーダンスに影響するため、規定インピーダンス(例:車載100BASE-T1では100Ω)を満足するピッチ設計が必要です。

一般的な車載ツイストペアケーブルでは撚りピッチ10〜30mm程度が採用されています。ペア間の撚りピッチを意図的に変えることで、同一ハーネス内でのペア間クロストークを低減できます(UTPケーブルの設計手法)。

撚りピッチノイズキャンセル効果高周波特性重量
短(<15mm)良好重い
標準(15〜30mm)中〜高標準標準
長(>30mm)劣る軽い

車載LAN・通信バスでのツイストペアの使用

CANバス(ISO 11898)では100Ω(High/Low 2線式)のツイストペアが標準的に使われます。車載イーサネット100BASE-T1・1000BASE-T1(OPEN Alliance規格)では非シールドツイストペア(UTP)1対線で100Mbps〜1Gbpsの通信を実現します。

フォスターの振動試験では、ツイストペアケーブルのコネクタ接続部・圧着部が振動下でも電気的安定性を維持するか確認します。ケーブル引張強度試験では接続部の引き抜き強度を評価し、ハーネスのルーティング固定設計の妥当性を検証します。

  • CANバス:撚りピッチ均一なUTPツイストペア(100Ω)が標準
  • 車載イーサネット(100BASE-T1):撚りピッチ管理で高周波特性を確保
  • 撚りピッチはペア間で異なる値を採用してクロストークを低減
  • 振動試験で圧着部・コネクタ接続部の長期信頼性を確認

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よくある質問

ツイストペアとシールド線を組み合わせる(STP)メリットは?

STP(シールドツイストペア)ではツイストペアのコモンモードノイズキャンセル効果にシールドの電磁遮蔽効果を加えることができ、高ノイズ環境での信号品質を確保できます。ただし重量増・コスト増・接地設計の複雑化が欠点です。要求EMCレベルに応じてUTPとSTPを使い分けます。

ツイストペアのインピーダンスはどう決まりますか?

特性インピーダンス Z₀ は電線の導体径・絶縁体の誘電率・ペア間距離(撚りピッチを含む)で決まります。Z₀ = (1/2π)√(μ/ε)×ln(D/d) の形で近似されます。車載イーサネット100BASE-T1では100±15Ω、CAN FDでは120Ω終端が一般的に使われます。

車両内でツイストペアを配索する際の注意点は?

他の電源線・モータ線などの高電流ラインと束ねないことが基本です。並走する場合は距離を空けるか、シールド線を使います。また急激な屈曲・固定点での摩擦がツイストペアの撚り状態を乱すことがあるため、グロメットやクランプの位置を適切に設計することが重要です。

差動信号通信でなぜツイストペアが有効ですか?

差動信号では正相・逆相の2線に同じノイズが乗っても受信側で差分をとるため相殺されます。ツイストペアで2線を撚ることで各線に誘起されるノイズが等しくなり、コモンモード除去比(CMRR)が向上します。撚りが均一でないとノイズの等しさが崩れてCMRRが低下します。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。