コネクタのシールド構造とEMI対策|シールド効果測定の評価法

概要

シールド付きコネクタは高周波ノイズ(EMI)の放射・侵入を抑制するために、金属製シェルで信号コンタクトを包囲した構造を持ちます。フォスターでは振動試験・耐湿性試験によって、シールドコネクタの機械的・環境的信頼性を評価しています。

車載LAN(CAN・LIN・Ethernet)や高速信号伝送に使われるコネクタでは、EMC(電磁両立性)規格を満足するシールド性能が必要です。シールド効果は周波数・接触面積・シールド連続性によって決まり、構造設計と試験評価が重要です。

シールド付きコネクタの構造と機能

シールド付きコネクタは金属シェル(外装シールド)・内部絶縁体・コンタクト(信号ピン)で構成されます。金属シェルは相手コネクタのシェルと嵌合時に面接触または多点接触し、360°シールドを構成します。ケーブル側の編組シールドとコネクタシェルが確実に接続されることで、ケーブルからコネクタへのシールド連続性が確保されます。

信号周波数が高くなるほど(GHzオーダー)、シールドのわずかな隙間・不連続点からのEMI漏洩が増大します。コネクタ設計ではシェル接触面積の確保・弾性接触構造による接触圧維持・インピーダンス整合が重要な要素となります。

EMI発生メカニズムとシールド効果

EMIは高速スイッチング動作する電気信号から放射される電磁波です。シールドコネクタのシールド効果(SE)は入射電磁波と透過電磁波の電界強度比をdBで表したもので、一般的にSE = 反射損失 + 吸収損失 + 多重反射補正 で計算されます。

薄い金属シェル(アルミ・真鍮)でも低周波では十分なSEが得られますが、高周波(>1GHz)ではスキン効果により表皮深さが浅くなるため、シェルの厚みよりも接触部の連続性・密着性の方が重要になります。車載イーサネット(1000BASE-T1)では1GHz帯でのシールド性能確保が課題です。

周波数帯主な課題シールド構造の要点
〜100MHz近傍磁界シェル厚みと材料透磁率
100MHz〜1GHz放射EMIシェル接触連続性・開口部管理
1GHz〜10GHzミリ波EMIインピーダンス整合・接触圧

シールド効果測定と環境試験との組み合わせ

シールド効果の測定にはトリプレート法・同軸試験法・ネットワークアナライザを用いたSパラメータ法などがあります。コネクタ単体評価ではジグを用いて挿入損失(S21)・反射損失(S11)を周波数スイープで測定し、シールド性能を評価します。

フォスターの振動試験では、シールドコネクタのシェル接触部が振動下でも安定した電気的接続を維持するかを確認します。また耐湿性試験ではシェルの腐食による接触抵抗増加がシールド効果に与える影響を評価します。これらの複合評価により実使用環境を模擬した信頼性確認が可能です。

  • Sパラメータ法(ネットワークアナライザ)でコネクタ単体のSE特性を評価
  • 振動試験でシェル接触部の機械的安定性を確認
  • 耐湿性試験後のシェル接触抵抗変化でシールド連続性を管理
  • 車載イーサネット用途ではIEEE 802.3bpに準拠したEMC試験を実施

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よくある質問

コネクタのシールドと電線のシールドはどう繋がりますか?

ケーブルの編組シールドはコネクタのバックシェルまたはシールドクリップでコネクタシェルに接続されます。圧着・ハンダ・かしめなどの接続方法があり、接触面積と安定性がシールド連続性を左右します。接触不良があると高周波での漏洩が増大します。

シールドコネクタはどのような車載用途に使われますか?

車載カメラ・レーダー・LiDARの高速信号ライン、ADAS制御ユニット間の通信ハーネス、車載イーサネット(OPEN Alliance規格)などに使用されます。LVDS(低電圧差動信号)やCAN-FDのような高速差動信号伝送でもシールド付きコネクタが採用されています。

シールドコネクタの接地はどう設計すればよいですか?

シールドの効果を最大化するには低インピーダンスのアース(GND)接続が必要です。シェルとシャーシアースの接続点を複数設け、アース線を短く・太くすることが基本です。グランドループを生じないよう単点グランドの原則も考慮します。

EMIとEMSの違いは何ですか?

EMI(Electromagnetic Interference)は機器が他に与える電磁ノイズ(放射・伝導妨害)、EMS(Electromagnetic Susceptibility)は機器が外部からのノイズに対する耐性(イミュニティ)です。コネクタの設計ではEMI低減(ノイズを外に漏らさない)とEMS確保(外部ノイズを侵入させない)の両面が必要です。


株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。