概要
株式会社フォスターでは、コネクタ部品の耐湿性試験・温湿度サイクル試験を実施しており、アイリングモデルに基づいた加速係数の計算・試験計画立案をサポートしています。
アイリングモデル(Eyring Model)は、アレニウス則の温度因子に加えて湿度・電圧・電流など追加の加速ストレス因子を組み込んだ加速寿命モデルです。特に温度と湿度の複合ストレスによる劣化(コネクタ接点腐食・樹脂加水分解・基板絶縁劣化)の加速試験計画に有効で、85℃/85%RH試験(85/85試験)やHAST(Highly Accelerated Stress Test)の加速係数算出に使われます。
アイリングモデルの数式と加速係数
アイリングモデルの生存時間τ = C × exp(Ea/kBT) × exp(B/RH)(C:定数、Ea:活性化エネルギー、kB:ボルツマン定数、T:絶対温度、B:湿度感度定数、RH:相対湿度)。加速係数AF = τ_use / τ_test = exp(Ea/kB × (1/T_use – 1/T_test)) × exp(B × (1/RH_test – 1/RH_use))で計算されます。
| 試験条件 | 一般的な加速係数(参考値) | 相当する使用条件(85℃/85%RH基準) |
|---|---|---|
| 85℃/85%RH(85/85試験) | 基準(AF=1) | 使用環境(25℃/60%RH等)の数百〜千倍 |
| 110℃/85%RH(HAST) | 約100〜200倍(85/85比) | 85/85試験の100〜200倍加速 |
| 130℃/85%RH(HAST過酷) | 約1000倍(85/85比) | 非常に高速な加速 |
| 121℃/100%RH(PCT) | 約20〜50倍(85/85比) | 圧力クッカー試験 |
HAST・85/85試験の設計への活用
アイリングモデルを使って求めた加速係数から、試験時間 = 目標寿命 / 加速係数 が計算できます。例:85℃/85%RH条件で1000h試験 → 加速係数200倍 → 実使用温湿度環境での200,000h(約22年)相当。コネクタの耐食性・絶縁抵抗・接触抵抗の変化量で合否を判定します。
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よくある質問
アイリングモデルとアレニウス則の違いは?
アレニウス則は温度のみの加速、アイリングモデルは温度に加えて湿度・電圧等の追加ストレス因子を組み込んだ多変数モデルです。
活性化エネルギーEaと湿度感度定数Bはどう求めるか?
異なる温度・湿度の複数の加速試験条件で寿命データを取り、最小二乗法でパラメータを推定します。文献値(例:Ea=0.5〜0.8eV for コネクタ接触腐食)を参考値として使う場合もあります。
HAST試験と85/85試験(高温高湿試験)の使い分けは?
85/85試験(IEC 60068-2-67)は長期品質確認に使われ、HASTは短期間スクリーニングに使われます。量産前のスクリーニングにはHAST、開発段階の詳細評価には85/85が多く採用されます。
湿度加速因子が温度加速と独立に作用する前提は正しいか?
電解腐食・拡散などの単純なメカニズムでは近似的に成立します。ただし湿度と温度が相互作用する複雑なメカニズムでは独立性の仮定が崩れるため、複合条件での実試験データで検証が必要です。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。
