IP規格(防水・防塵等級)とは?数字の意味と試験方法の基礎

コネクタが並べられている様子

IP規格(防水・防塵等級)とは

IP規格とは、電気機器やコネクタが水や粉塵(ほこり)の侵入に対してどの程度保護されているかを示す国際規格です。「IP67」「IP68」などの表示を見たことがある方も多いでしょう。
自動車用コネクタや電子機器では、雨水や洗車、高圧洗浄、粉塵などの厳しい環境で使用されるため、適切なIP等級を満たしていることが製品の信頼性に直結します。

自動車部品・コネクタ・端子部品の受託試験および評価解析を行う株式会社フォスターが、IP規格(IEC 60529)の基本、数字の意味、防水・防塵試験の方法について実務経験をもとにわかりやすく解説します。

IP規格とは?国際規格IEC 60529の基本

IP規格とは、International Protection(国際保護等級)の略で、国際電気標準会議(IEC)が定めるIEC 60529という規格に基づき、電気製品の筐体が固形物(ほこりなど)や水の侵入に対してどの程度保護されているかを表す指標です。日本国内ではJIS C 0920として同様の規格が定められています。自動車のコネクタやハーネスは、エンジンルームや車外など、雨・洗車水・泥・砂ぼこりにさらされる過酷な環境で使用されるため、設計段階でどのIP等級を満たすべきかを明確にし、量産前に試験で実証することが品質保証上非常に重要です。

IPコードの数字が表す意味

区分数字保護の内容
第1数字(防塵)0特に保護なし
第1数字(防塵)5粉塵の侵入を完全には防げないが、動作に支障をきたす量は侵入しない(防塵形)
第1数字(防塵)6粉塵が内部にまったく侵入しない(耐塵形)
第2数字(防水)4あらゆる方向からの水の飛沫に対して保護
第2数字(防水)5あらゆる方向からの噴流水に対して保護
第2数字(防水)6あらゆる方向からの強い噴流水に対して保護
第2数字(防水)7規定の水深・時間での一時的な水没に対して保護
第2数字(防水)8メーカー規定の条件下での継続的な水没に対して保護
早見表(参考)

IP保護等級(IPコード)早見表【全等級】

「IP」+第1数字(防塵・固形物)+第2数字(防水)で表します。各数字の意味を全等級まとめました。

■ 第1特性数字(防塵・固形物の侵入)
数字保護の内容
0保護なし
1直径50mm以上の固形物(手の甲など)
2直径12.5mm以上の固形物(指など)
3直径2.5mm以上の固形物(工具・太い電線)
4直径1.0mm以上の固形物(細い電線・ねじ)
5防塵形(粉塵の侵入を完全には防げないが、動作に支障をきたす量は侵入しない)
6耐塵形(粉塵の侵入がない)
■ 第2特性数字(水の侵入)
数字保護の内容
0保護なし
1鉛直に落下する水滴
215°以内で傾けたときの落下水滴
3散水(鉛直から60°以内の噴霧水)
4飛まつ(あらゆる方向からの水の飛まつ)
5噴流(あらゆる方向からの噴流水/ノズル6.3mm)
6暴噴流(あらゆる方向からの強い噴流水/ノズル12.5mm)
7一時的な水没(規定の水深・時間での潜水)
8継続的な水没(メーカー規定の条件下での潜水)
9 / 9K高温・高圧水(近距離からの高温高圧ジェット水/ISO 20653由来・IEC 60529に追加)

読み方の例:IP67 =「6:耐塵形(粉塵の侵入なし)」+「7:一時的な水没に耐える」。数字を「X」と書く場合(例:IPX7)は、その項目を規定・評価していないことを表します。

出典・規格:IEC 60529/JIS C 0920(一般)。自動車部品は ISO 20653/JIS D 5020(IPX9K 等を規定)。等級の定義は標準に基づく代表値で、試験条件の詳細・判定はご使用条件・ご指定規格に合わせて実施します。

防塵(IP5X・6X)・防水(IPX1〜9K)試験は、ご指定等級・条件に合わせて受託で承ります。お問い合わせ・お見積りはこちら

自動車部品でよく使われるIP等級の例

IP等級主な用途
IP20屋内機器・充電器など
IP54車室内・制御ユニット
IP55水しぶきがかかる機器
IP67エンジンルーム・車外コネクタ
IP68水中使用機器・EV関連部品
IP69K高圧洗浄される商用車・建機

IP試験はどのように行われるのか

試験内容
防塵試験タルク粉末を用いて粉塵侵入を確認
IPX4試験あらゆる方向からの飛沫試験
IPX5試験噴流水試験
IPX6試験強い噴流水試験
IPX7試験一時的な浸水試験
IPX8試験継続的な浸水試験

IP規格で重要なポイント

  • IP等級は数字が大きければ必ず優れているわけではない
  • 使用環境に合わせた等級選定が重要
  • 過剰品質はコストアップにつながる
  • 実機試験による確認が品質保証には不可欠

フォスターによるIP試験

株式会社フォスターでは、自動車用コネクタ・ハーネス・電子部品を対象に、防水性・防塵性評価を実施しています。

IEC 60529やJIS C 0920など各種規格に対応し、IPX4・IPX5・IPX6・IPX7・IPX8、防塵試験など幅広い試験に対応しています。試験後は絶縁抵抗測定や外観観察を組み合わせ、水や粉塵の侵入による影響を総合的に評価し、品質保証や設計改善をサポートしています。

関連する試験

関連ページ


よくある質問

IP67とIP68はどちらが防水性能が高いですか?

数字が大きいほど防水性能が高くなる傾向にありますが、意味が異なります。IP67は規定水深での一時的な水没、IP68はメーカーが規定するより厳しい継続的な水没条件に対応しており、一般的にIP68の方が高い防水性能とされます。

IP規格の防水・防塵性能は永久に保証されますか?

IP等級は新品時の試験結果であり、経年劣化やパッキンの摩耗、コネクタの誤組付けなどにより実際の防水・防塵性能は低下することがあります。定期的な点検や耐久試験との組み合わせ確認が重要です。

IPX4とIPX5の違いは何ですか?

IPX4はあらゆる方向からの水の飛沫に対する保護、IPX5はホースなどによるあらゆる方向からの噴流水に対する保護を意味し、IPX5の方がより厳しい水圧条件で試験されます。

自社製品にどのIP等級を設定すればよいかわかりません。

使用環境(屋外・水没の可能性・洗浄方法など)を整理したうえで、類似製品の実績や業界標準を参考に等級を検討することをおすすめします。フォスターでは試験を通じたご相談も承っております。

関連する試験


コネクタ評価試験

コネクタ評価試験

  • ・接触抵抗評価
  • ・挿入力・抜去力試験
  • ・環境・耐久試験
詳しく見る →
端子圧着部評価

端子圧着部評価

  • ・圧着断面観察
  • ・引張強度評価
  • ・圧着状態確認
詳しく見る →
コネクタ不具合解析

コネクタ不具合解析

  • ・接触不良解析
  • ・破損原因調査
  • ・腐食解析
詳しく見る →

株式会社フォスターについて

株式会社フォスターは、自動車部品(コネクタ・ワイヤーハーネス・圧着端子)を中心とした受託試験・信頼性評価を行っております。 環境試験、電気特性試験、機械的特性試験、不具合解析など幅広い評価に対応し、お客様の開発・品質保証をサポートいたします。

まずはお気軽にご相談ください

試験内容や評価方法が決まっていない段階でもご相談いただけます。
技術担当者が目的や条件を確認し、最適な試験方法をご提案いたします。

試験方法から相談可能 技術者が直接対応 コネクタ評価に対応 秘密保持対応