概要
SEM-EDX(走査電子顕微鏡+エネルギー分散型X線分光)は、微小な異物や腐食生成物、めっき層などをナノ〜ミクロンオーダーの高倍率で観察しながら、その位置の元素組成を同定できる分析手法です。コネクタ端子の腐食解析や、圧着部の異物混入解析など、自動車部品の故障解析において最も汎用性の高い分析手法の一つとして活用されています。本ページでは、SEM-EDXの原理と故障解析への具体的な応用例を解説します。
SEMの原理|電子線による高倍率観察
SEM(走査電子顕微鏡)は、真空中で試料表面に細く絞った電子線を走査しながら照射し、試料表面から発生する二次電子や反射電子を検出して画像化する装置です。光学顕微鏡に比べて焦点深度が深く、数十万倍程度までの高倍率観察が可能なため、端子表面の微細なクラックや摩耗痕、めっき層の欠陥、微小異物の形状などを立体感のある画像として詳細に確認できます。
EDXの原理|特性X線による元素同定
EDX(エネルギー分散型X線分光)は、SEMの電子線照射時に試料から発生する特性X線のエネルギーを検出し、そのエネルギー値から試料に含まれる元素の種類を同定する手法です。SEM観察と同一箇所で元素分析を行えるため、「どのような形状の異物が、どのような元素で構成されているか」を同時に把握できる点が大きな特長です。定性分析だけでなく、面分析(マッピング)により元素の分布状態を可視化することも可能です。
コネクタ・端子の故障解析への応用例
- 端子圧着部の異物混入解析|圧着不良の原因となる異物の形状と成分を特定
- 端子表面の腐食生成物解析|硫化物・塩化物など腐食要因元素の同定
- めっき層の膜厚・組成異常の確認|Snめっき等の異常成長やウィスカ発生要因の分析
- 接点不良部の付着物分析|接触抵抗増大の原因となる絶縁性被膜の成分特定
解析の流れと試料準備の重要性
SEM-EDX分析では、真空中での観察となるため、試料の脱水・乾燥や導電性の確保(非導電性試料への金属蒸着など)といった前処理が必要です。また、断面を観察する場合は樹脂包埋・断面研磨によって観察面を平滑に仕上げることが、正確な元素分布の把握につながります。フォスターでは、試料作製から断面研磨、SEM-EDX観察・分析まで一貫して対応しています。
関連する試験
よくある質問
SEMとEDXは別々の装置ですか?
EDXはSEMに検出器を付加した分析機能であり、多くの場合SEM本体にEDX検出器を装着した複合装置として使用されます。同一の観察箇所で形状観察と元素分析を同時に行えます。
どのくらいの大きさの異物まで分析できますか?
SEMの観察倍率は数十倍から数十万倍まで対応可能なため、光学顕微鏡では確認が難しいサブミクロンオーダーの微小異物についても、形状観察と元素分析の両方が可能です。
定量分析はできますか?
EDXは主に定性分析(含有元素の種類の特定)や半定量分析に用いられます。厳密な定量値が必要な場合は、標準試料を用いた補正や他の分析手法との併用を検討します。
断面観察と表面観察はどちらを選ぶべきですか?
表面の異物や付着物の形状・成分を確認したい場合は表面観察、めっき層の膜厚や内部構造を確認したい場合は樹脂包埋・断面研磨を行った上での断面観察が適しています。目的に応じてフォスターがご提案します。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品(コネクタ・ハーネス・圧着端子)の受託試験を中心に20年以上の実績を有しております。環境試験、電気特性試験、機械的特性試験など幅広い評価に対応し、お客様の品質保証・開発をサポートしています。
