短絡痕(たんらくこん)とは、電線・コネクタ・基板などで短絡(ショート)が起きた際に、金属の導体や接点に残る溶融・変形の痕跡のことです。火災や不具合の原因調査では、その短絡が「原因」なのか「結果」なのかを見極めるための、きわめて重要な手がかりになります。
短絡痕・溶融痕・電気痕の違い
これらは混同されがちですが、指す範囲が異なります。溶融痕は、短絡・外部加熱・アークなど理由を問わず「金属が溶けて固まった痕」の総称です。電気痕は、通電やアーク放電など電気的な作用で生じた痕を指します。そのなかで短絡痕は、短絡電流によるアーク熱・ジュール発熱で導体が局所的に溶融してできる、特徴的な溶融形態を指します。火災調査では、出火の原因となった短絡による「一次痕」と、延焼の熱や別の要因で二次的に生じた「二次痕」を区別することが重要とされています。
どうやって見分けるのか(断面観察・組織解析)
短絡痕かどうか、また一次痕か二次痕かは、外観だけでは判別が困難です。そのため、痕跡部を切り出して断面観察・組織解析を行い、金属組織(ボイド=空孔、デンドライト=樹枝状組織、再結晶の状態など)を顕微鏡で観察して総合的に推定します。溶けた金属が固まるときの冷え方や周囲の酸化の様子などから、生成時の状況を読み解いていきます。
コネクタ・ハーネスにおける短絡痕
コネクタやワイヤーハーネスでは、防水不良による浸水、絶縁被覆の損傷、導電性異物の混入、イオンマイグレーションなどをきっかけに短絡が起き、短絡痕が残ることがあります。接触不良や異常発熱と併発する場合もあり、原因の切り分けには客観的な解析が欠かせません。
よくあるご質問
短絡痕と溶融痕の違いは何ですか?
溶融痕は「金属が溶けて固まった痕」全般を指す広い言葉で、短絡痕はそのうち短絡電流によって生じたものを指します。短絡痕は溶融痕の一種と考えると分かりやすいです。
短絡痕から火災の原因は分かりますか?
短絡が火災の原因(一次痕)か、延焼で生じた結果(二次痕)かを、断面の金属組織などから推定します。断定には複数の痕跡や現場状況と合わせた総合的な判断が必要です。
調査では具体的に何をしますか?
痕跡部の外観観察に加え、断面を切り出しての顕微鏡による組織観察や元素分析などを組み合わせ、生成状況を推定します。
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