EV用大電流通電試験|高電流コネクタの発熱評価

圧着端子に熱電対を取り付けた様子

公開日: 2026年8月24日 / 最終更新日: 2026年8月24日

試験条件の代表例(参考)

代表:高電流通電時の発熱・温度上昇を評価(EV/大電流コネクタ向け)
電流値・通電時間は用途・製品規格に応じて設定

※一般的な代表例です。実際はお客様のご指定規格・条件に合わせて実施します。

温度上昇試験とは

温度上昇試験とは、コネクタや端子に規定の電流を通電し、接点部・端子部・ハウジングなどの温度変化を測定することで、通電時の発熱特性や電流容量を評価する試験です。
コネクタは電流が流れることでジュール熱が発生し、接触抵抗、端子形状、めっき仕様、電線サイズ、周囲温度などによって温度上昇量が変化します。

特にEV・HEVなどの電動車では、従来の12V系コネクタと比較して大きな電流を扱うケースがあり、
高電流通電時の発熱や端子接続部の温度上昇を確認することが重要です。

株式会社フォスターでは、自動車用コネクタ・高電流コネクタ・端子・ワイヤーハーネスを対象として、温度上昇試験を受託しています。
一般的な電流域の評価に加え、EV向けなどの高電流用途では、3000A程度までの通電評価実績があります。
試作品の設計検証から量産品の品質確認、設計変更前後の比較、不具合解析まで、お客様の仕様に合わせた評価に対応しています。


EV・高電流コネクタの温度上昇試験

EVやHEVなどの電動車では、バッテリー、インバータ、モーターなどの高電力機器間を接続するため、大電流に対応したコネクタやバスバー、端子が使用されます。高電流を通電すると、端子の接触部や導体の抵抗によって発熱が生じます。
特に接続部にわずかな接触抵抗の増加がある場合でも、大電流では発熱量が大きくなるため、端子接続部の局所的な温度上昇を確認することが重要です。

高電流通電時の温度上昇だけでなく、必要に応じて接触抵抗、電圧降下、外観変化などを組み合わせて評価することも重要です。


温度上昇試験の目的

温度上昇試験では、通電時の発熱特性や電流容量を評価します。

主な評価目的は以下のとおりです。

  • 定格電流での温度上昇確認
  • 高電流通電時の発熱評価
  • 電流容量・許容電流の確認
  • EV用コネクタの設計妥当性評価
  • 接点部・端子部の局所発熱確認
  • 材料・めっき仕様の比較評価
  • 電線サイズ・導体仕様の比較
  • 設計変更前後の比較評価
  • 量産品の品質確認
  • ディレーティングカーブの取得

評価項目

評価項目内容
温度上昇値周囲温度との差(ΔT)
接点温度接点部の最高温度
端子温度端子部の温度変化
ハウジング温度樹脂部の温度変化
電圧降下通電中の電圧降下
接触抵抗発熱要因となる接触抵抗
温度分布複数端子間の温度差・局所発熱
外観確認変色・変形・溶融などの有無

高電流試験では、単純な最高温度だけではなく、端子間の温度差や局所的な発熱箇所を確認することも重要です。


高電流温度上昇試験の実績

EV用コネクタなどの高電流用途では、一般的な自動車用コネクタよりも大きな電流を通電する必要があります。
株式会社フォスターでは、3000A程度までの高電流通電による温度上昇評価の実績があります。
例えば、

  • EV用高電流コネクタ
  • バッテリー接続用コネクタ
  • 高電流端子
  • パワー系ワイヤーハーネス
  • バスバー・導体接続部
  • 大電流対応部品
圧着端子に熱電対を取り付けた様子

などについて、高電流通電時の温度上昇を評価できます。
試験電流、通電時間、温度測定位置、周囲温度などは、対象部品やお客様の要求仕様に合わせて設定します。


試験方法

コネクタを正常に嵌合し、規定サイズの電線や導体を接続した状態で、定格電流または指定電流を通電します。
通電中は熱電対や温度データロガーなどを使用し、接点部、端子部、ハウジング部などの温度を測定します。
温度が安定した状態を確認したうえで、周囲温度との差から温度上昇値を評価します。
必要に応じて、以下のような条件にも対応します。

  • 定格電流での通電
  • 最大電流での通電
  • 定格電流に対する複数条件での比較
  • 複数極同時通電
  • 周囲温度を変更した試験
  • 長時間連続通電
  • 高電流通電
  • 設計変更前後の比較
  • 電圧降下・接触抵抗の同時測定

試験手順の全体像

① 初期温度確認
↓
② 通電開始
↓
③ 温度・電気特性モニタ
↓
④ 温度飽和の確認
↓
⑤ 通電停止
↓
⑥ 冷却・外観確認

高電流試験では、通常の温度測定に加えて、通電開始直後の温度上昇や局所的な異常発熱についても監視します。


試験結果から分かること

温度上昇試験では、温度変化や温度分布から、コネクタや端子の発熱要因を確認できます。
例えば、以下のような異常の評価に活用できます。

  • 接触抵抗の増加
  • 接点圧不足
  • 端子接触部の発熱
  • 端子の圧着不良
  • 電線サイズの不適合
  • 導体断面積の不足
  • めっき劣化
  • 接点の酸化・腐食
  • 端子形状による局所発熱
  • 樹脂ハウジングの変形
  • 高電流通電による異常発熱

特に高電流領域では、接触抵抗のわずかな違いが大きな発熱差につながる場合があります。


温度上昇に影響する主な要因

要因影響内容
通電電流電流が大きいほど発熱量が増加
接触抵抗抵抗値が高いほど接点部が発熱しやすい
端子形状電流密度や放熱性に影響
接点圧接触状態や接触抵抗に影響
めっき仕様接触抵抗や耐久性に影響
電線サイズ電流容量や発熱量に影響
導体断面積電流密度や発熱量に影響
周囲温度初期温度によって到達温度が変化
通電時間長時間通電によって熱が蓄積
極数・配置多極接続では内部に熱が籠もる場合がある

高電流・多極コネクタで注意するポイント

火災・発煙への警戒

接触抵抗が異常に高いサンプルでは、高電流を通電した際に接触部が急激に発熱する場合があります。
場合によっては樹脂ハウジングの変色・軟化・溶融などにつながる可能性があるため、通電初期から温度を監視し、異常時には直ちに電源を遮断できる状態で試験を実施します。

熱電対の浮きによる測定エラー

特定の端子だけ温度がほとんど上昇しない場合、実際に発熱していないのではなく、熱電対の先端が端子表面から浮いている可能性があります。
その場合、端子温度ではなく周辺の空気温度を測定してしまうため、熱電対の取り付け状態を確認することが重要です。

多極接続による局所的な発熱

コネクタは1極だけで使用されるとは限りません。
10極、20極など複数の端子を同時に通電する場合、端子同士の発熱が重なり、コネクタ内部に熱が蓄積することで中央付近の端子が高温になる場合があります。
そのため、多極コネクタでは単一端子での評価だけでなく、実際の使用条件を想定した通電条件で評価することが重要です。


前後評価・耐久試験との組み合わせ

温度上昇試験は、単独の評価だけでなく、各種耐久試験の前後評価として実施されることがあります。
また、以下のような目的では温度上昇試験を単独で実施することもあります。

  • 発熱量の確認
  • 最大許容電流の確認
  • ディレーティングカーブの取得
  • コネクタ設計の比較評価
  • 端子・電線仕様の比較
  • 高電流部品の設計検証

株式会社フォスターの温度上昇試験サービス

株式会社フォスターでは、自動車用コネクタ・端子・ワイヤーハーネスを中心に、温度上昇試験を受託しています。
一般的なコネクタの通電評価から、EV用などの高電流コネクタを対象とした3000A程度までの高電流通電評価まで、対象部品や要求仕様に応じた試験に対応しています。温度上昇だけでなく、接触抵抗・電圧降下・外観確認などを組み合わせた評価にも対応可能です。

JASO、IEC、USCARなどの規格やお客様仕様に基づく試験についてもご相談いただけます。

また、温度上昇の結果から発熱箇所や接触状態に問題が疑われる場合には、端子断面観察や接触部の解析など、不具合解析まで一連の評価として対応可能です。

高電流コネクタ・EV用コネクタの温度上昇評価について、お気軽にご相談ください。


ご依頼から試験実施までの流れ

  1. お問い合わせ・ヒアリング
    対象製品の仕様(極数、サイズ、ピッチなど)や、ご希望の試験規格(JASO D 616など)をお伺いします。
  2. 試験計画のご提案・お見積り
    必要な治具(ジグ)の手配や、スケジュールを含めた最適な試験プランをご提示します。
  3. 試験実施
    20年以上の実績を持つ専門スタッフが、正確な条件で試験を執り行います。
  4. データ集計・レポート納品
    測定データ、グラフ、外観写真などをまとめた試験報告書を速やかに納品いたします。ご希望のフォーマットがあれば、お送りください。そちらに合わせ作成いたします

リードタイム

最速1日、通常2~3日を要します

測温方法の検討から、熱電対の取り付け、サンプル作成、回路形成、常温なじませ、その後、試験開始となります。

通電時間が多くの場合1~3時間程度必要となります。その後、温度の下降を待って取り外し、ご返却となります。

Q&A

Q1. なぜ「温度上昇値(ΔT)」で評価するのですか?実測温度ではダメなのですか?
A1. 試験を行う日の室温(周囲温度)によって、実測温度は変わってしまうからです。周囲温度からの「純粋な上昇分」を算出することで、室温に左右されないコネクタ本来の発熱性能を一律に評価できます


Q2. 「接触抵抗」と温度上昇にはどのような関係がありますか?
A2. 接触抵抗が大きくなると、発熱量は電流の2乗に比例して激しく増加します(P=I^2R)。
そのため、温度上昇試験の前後には接触抵抗を測定し、異常な抵抗上昇がないかセットで評価することが多いです。


Q3. 試験に使う「電線の太さ」はどのように決めればよいですか?
A3. ターゲットとする適用規格(JASOやUSCARなど)で指定されている太さや、実際製品として使用される電線と同じものを使用してください。
電線は「熱を逃がすヒートシンク」の役割も果たすため、指定より太い電線を使うと温度が上がりにくくなり、細い電線を使うと温度が上がりやすくなりデータの信頼性が下がります。

料金体系

  • 基本料金 :25,000円~(税抜き) 
    • 複数の機器、設備を利用しますので、お早めにお問い合わせください

温度上昇試験に関するご相談・お見積りはこちら

「急ぎで不具合の再現試験を行いたい」「センサー取付けの加工から丸投げしたい」など、柔軟に対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。


本試験は JASO D616(ワイヤハーネスコネクタ試験方法・一般性能要件) に対応しています。規格の詳細は解説ページをご覧ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. この試験の費用はいくらですか?

費用はサンプルの種類・数量・試験条件によって異なります。詳細はお問い合わせフォームまたはお電話にてお気軽にご相談ください。

Q. 試験の所要時間はどのくらいですか?

試験内容やサンプルの状態によって異なります。お見積り時に目安の納期をご案内いたします。

Q. どのような規格に対応していますか?

JIS規格をはじめ、IEC・MIL等の各種規格に対応しています。ご依頼時に対応規格をお知らせください。

Q. 試験結果はどのような形式で受け取れますか?

試験成績書(レポート)として発行いたします。必要に応じてPDFまたは紙での納品が可能です。

Q. 依頼方法を教えてください。

当サイトのお問い合わせフォームまたはお電話(平日9:00〜17:00)にてご相談ください。サンプル送付先や詳細な試験条件についてご案内いたします。

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