概要
USCAR規格とは、GM・Ford・Stellantis(旧FCA)を中心とした北米自動車メーカー団体USCAR(United States Council for Automotive Research)が策定した電装品向け技術仕様群です。中でもUSCAR-2『Performance Specification for Automotive Electrical Connector Systems』は、北米向け車両に搭載されるコネクタの信頼性評価基準として広く採用されており、日系サプライヤーが北米市場向け部品を開発する際には避けて通れない規格です。本記事ではUSCAR規格の全体像と、実際に要求される試験項目、国内規格との違いを解説します。
USCARとは何か|策定団体と規格の位置づけ
USCAR(United States Council for Automotive Research LLC)は、General Motors、Ford Motor Company、Stellantis(旧FCA US)の北米大手自動車メーカー3社が共同出資して設立した非営利の研究協議会です。各社がバラバラに部品仕様を策定するとサプライヤーの開発負荷が増大するため、共通の技術仕様として電気接続部品(コネクタ、端子、ワイヤーハーネス)向けの規格群を整備してきました。代表的なものがUSCAR-2(コネクタシステム性能仕様)、USCAR-21(ワイヤー接続部の環境保護)、USCAR-25(燃料・蒸気系コネクタ)などです。北米OEM向けに部品を供給する場合、図面にUSCAR-2準拠の指示があるケースが多く、国内のJASO規格やISO規格とは要求項目や試験レベルが異なるため、個別に試験計画を立てる必要があります。
主要なUSCAR規格一覧
| 規格番号 | 名称(概要) | 主な対象 |
|---|---|---|
| USCAR-2 | Performance Specification for Automotive Electrical Connector Systems | 電気コネクタシステム全般の性能仕様 |
| USCAR-21 | Performance Specification for Cable-to-Terminal Electrical Crimps | 電線対端子の圧着接続部 |
| USCAR-25 | Performance Specification for Vapor/Liquid Fuel Feed Line Quick Connectors | 燃料・蒸気ラインのクイックコネクタ |
| USCAR-37 | Sealed Automotive Connector Systems | 防水コネクタシステム |
USCAR-2が要求する主な試験項目
- 温度サイクル試験(Thermal Shock/Cycle):-40℃〜+125℃程度の範囲での熱衝撃を繰り返し、端子・ハウジングのクリープや接触抵抗変化を評価
- 振動試験:正弦波・ランダム振動の複合条件で、走行中の微摺動摩耗(フレッティング)による接触信頼性低下を確認
- カレントサイクル試験:通電と休止を繰り返し、温度上昇と接触抵抗の経時変化を評価
- 挿抜耐久試験:規定回数の抜き差しを行い、端子保持力・挿入力の変化を測定
- 塩水噴霧・耐食性試験:防水コネクタでは塩水環境下での腐食進行を評価
- 接触抵抗・電圧降下測定:試験前後の接触抵抗を比較し、劣化度合いを定量化
USCAR規格対応で失敗しやすいポイント
USCAR-2は試験項目自体はJASOやISOと類似していますが、温度域・サイクル数・振動加速度などの試験条件が異なる場合が多く、国内向け実績のある試験条件をそのまま流用すると規格不適合となるリスクがあります。また、USCAR-2はコネクタの使用クラスによって要求レベルが変わるため、図面や仕様書に記載されたクラス分類を必ず確認したうえで試験計画を組む必要があります。さらに、北米OEMは第三者試験機関の成績書提出を求めるケースがあり、社内試験結果だけでは受理されないこともあるため、早期に受託試験機関へ相談し、試験条件のすり合わせを行うことが手戻り防止につながります。
フォスターで実施できるUSCAR関連試験
フォスターでは、USCAR-2準拠のコネクタ評価で求められる温度サイクル、振動、カレントサイクル、挿抜耐久といった一連の試験に対応しています。北米向け開発案件では、国内規格との条件差分を整理したうえで試験計画をご提案することも可能です。図面指示の解釈に迷う場合や、試験条件の妥当性を第三者視点で確認したい場合も、まずはお気軽にご相談ください。
関連する試験
よくある質問(FAQ)
USCAR規格とJASO規格はどちらを優先すべきですか?
納入先が北米OEMであればUSCAR規格が優先されるのが一般的です。国内向けとの共通仕様にしたい場合は、両規格の試験条件を比較し、より厳しい条件を採用するアプローチも実務では取られます。
USCAR-2にはクラス分けがあると聞きましたが?
USCAR-2ではコネクタの使用環境や信頼性要求に応じてクラスが規定されており、クラスによって温度サイクル数や振動条件などの試験レベルが異なります。図面や仕様書で該当クラスを必ず確認してください。
社内試験の結果でOEMの承認は得られますか?
OEMや案件によっては第三者試験機関の成績書提出を求められる場合があります。事前に納入先の要求事項を確認し、必要に応じて外部試験機関の活用を検討することをおすすめします。
株式会社フォスターについて
株式会社フォスターは三重県に拠点を置き、自動車部品用コネクタ・ワイヤーハーネス・圧着端子を中心とした受託試験・評価を20年以上にわたり手がけてきました。豊富な試験設備と実務経験に基づき、設計・品質保証・生産技術のお客様の技術課題解決をサポートしています。
